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アドビが「モバイルアプリ」に投資する事情 スマホ経由の新規ユーザーは6500万人に

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単純ながら時間がかかる作業をAdobe Senseiが肩代わりし、空いた時間をほかのことに使う。クリエイティブの現場においては、ツールの人工知能による進化をより豊かな表現に結びつけることを目指している、とラムキン氏は話す。

「われわれの顧客であるスマートなコミュニティからノウハウを集め、アプリを使ってもらいながら、そのつながりを強化していくことで、より多くの人に、よりスマートな製品を提供していくことを目指しています」(ラムキン氏)

クリエイター各自が持つ作品の権利や匿名性は守りながら、コミュニティ全体でのノウハウの共有と成長を進めていく。アドビシステムズのCreative Cloudの成長の方針であり、テクノロジーとアートやデザインの未来を創っていく手法、として位置付けることができる。

基調講演では、Adobe Senseiを活かしたPhotoshopの未来像を披露していた。右側の領域にAdobe Senseiのアシスタントが控えており、必要な情報を提示したり、マスク処理などよく行われる作業を提案したりしてくれる。また、「空を青くしたい」「モノクロにしたい」といった処理を声で探すこともできる。

アドビシステムズはこれまで、タッチ操作を積極的にアプリに取り入れてきたが、Adobe Senseiとの組み合わせでは、声のインターフェースを重視しているという。その理由として、高機能化しすぎたアプリの機能を簡単に見つけるための手段を提供することが目的だ。

ここでも、スマートスピーカーとは異なる文脈で、現在のテクノロジー業界のトレンドを取り入れており、アドビシステムズの独自性を表している。

「入り口としてのモバイル」の時代は終わった

10周年を迎えクラウド版となった人気写真編集アプリLightroom CC。モバイル版もパソコン向けと同じ編集能力を備える(筆者撮影)

アドビシステムズは購読型ビジネスに移行し、数年ごとに刷新されるパッケージ製品をいかに売るか、アップグレードしてもらうか、というビジネスから、いかに長くメンバーシップを継続してもらうか、というビジネスへと変化した。同時に、Adobe IDと呼ばれるアカウントをより多くの人に作ってもらい、より多くの人々をメンバーに登録してもらうことを目指すモデルとなった。

そのAdobe IDを作成するきっかけとなっているのが、モバイルアプリだ。誰もが持っているスマートフォンやタブレットを、アドビシステムズの高品質なクリエイティブ環境を手に入れるきっかけにする戦略だった。しかし、ラムキン氏から聞いた言葉は、少し異なっていた。

デジタルメディア事業部門担当エグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのブライアン・ラムキン氏(筆者撮影)

「モバイルアプリはAdobe IDの新規登録ユーザーを集めるきっかけとして非常によく機能してきました。モバイルアプリを経由した新規ユーザーは6500万人に上ります。しかし、今回発表したLightroomのモバイルアプリは、クラウドを活用したプラットフォームとなり、パソコンのアプリに遜色ない編集作業を実現しました。

今回、月額480円でLightroomのモバイル版のみを利用できるフォトプランを新たに追加しました。パソコンでの作業はできませんが、Adobe Senseiの技術も活用した同じ品質の編集を、スマートフォンやタブレットで実現できます。

これまでCreative Cloudの入り口としてモバイルアプリを活用してきましたが、きっかけにとどまらず、モバイルだけのワークフローや、パソコン主体のクリエイターのモバイル活用という、エコシステムの拡張にも期待しています。そうした位置付けで、モバイルアプリに対する投資を行っています」(ラムキン氏)

購読型ビジネス、そしてAdobe Senseiを活用する方針へと舵を切るアドビシステムズは、クリエイターの役割やモバイルの位置付けなどを劇的な速度で変化させている。ユーザーがメリットを随時体験でき、その働き方、役割が変化している速度以上に、アドビシステムズ自身がクラウドと人工知能によって変化している。

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