アドビが「モバイルアプリ」に投資する事情 スマホ経由の新規ユーザーは6500万人に

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イラストから3Dのパッケージ画像を合成できる今回発表の新製品Adobe Dimensions(筆者撮影)

また、ベータ版として提供されてきた「Adobe XD」では、ユーザー体験を設計することができるツールが提供され、アプリやモバイルウェブなどの設計のニーズをかなえるツールとなった。また、イラストレーションなどの2Dグラフィックスを制作する現場で、手軽に3D画像のプロトタイプが作成できる「Adobe Dimensions」も正式版となった。

Creative Cloudのユーザーは、クリエイティブ環境やニーズの変化に敏感に対応し、新たな機能やアプリを投入するアドビシステムズの取り組みを、追加料金なしで利用できる点がメリットだ。そして、後述の人工知能を活かした制作環境をいち早く取り入れることができる点は、クリエイターの働き方そのものの変革に、大きな影響を与えていく。

ブライアン・ラムキン氏は、「世界をクリエイティビティで変革させるために、アプリや人工知能を提供する」とコンセプトを語っている。ツール、コミュニティ、そしてサイエンスの点でアドビシステムズは唯一の存在になっていることを象徴するビジョンといえる。

Adobe Senseiは仕事を奪わない

今年、人工知能を取り入れているさまざまな企業が必ず触れている話題は、「AIが人の仕事を奪うのか?」という議論だ。アドビシステムズはAdobe Senseiによってクリエイティブの世界を変えていこうとしているが、テクノロジー企業らしく、ポジティブに受け止め、またその姿勢を製品にも活かしている。

「Adobe Senseiには、アドビシステムズにとって、より大きな意味があります。クリエイターが表現豊かな作品をより素早く仕上げるためのクリエイティブインテリジェンスやデザインインテリジェンスを目指しています。汎用的な人工知能を作り出そうとしているのではないのです。

わかりやすい例として、これまでクリエイターが3時間かけて行っていた表現のための作業を3分で済ませるツールを提供する、ということです。結果として、クリエイターは、コンセプトやテクノロジーを用いた新しい表現の可能性に、その時間と才能を傾けることができるようになるのです」(ラムキン氏)

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