常磐線再開区間「乗れない切符」が買えるワケ 復旧部分にない「190円区間」が示す全通の日
2017年4月1日に、福島県双葉郡富岡町の避難指示が解除(一部の帰還困難区域を除く)されたことを受けて、復旧工事が急がれていた常磐線の竜田―富岡間6.9kmが10月21日に運転を再開した。列車の運転再開が避難指示解除より遅れたのは、富岡駅が津波の直撃を受けており、損害が大きかったから。駅や線路の位置は従来のままであるが、新しい駅舎は旧駅舎からやや北へずらした位置に、駅前広場とともに整備されている。
初日に富岡を訪れることができたので、気が付いた点をまとめておきたい。
少しずつ延びた運転再開区間
2011年3月の東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所事故以来、常磐線は地域の復興と、帰還事業の進捗により、徐々に運転再開区間を延ばしてきた。東北本線と並ぶ、首都圏と東北・北海道を結ぶ幹線であったため、復旧費用の負担などは問題なかったが、高台への移転や放射能の除染作業という、三陸の津波被災路線とはまた違う課題がのしかかっていたのだ。
常磐線の北半分にあたる、いわき―岩沼間のうち、2011年中に運転を再開したのはいわき―広野間、原ノ町―相馬間、亘理(わたり)―岩沼(―仙台)間である。その後、2013年3月16日に浜吉田―亘理間、2014年6月1日に広野―竜田間、2016年7月12日に小高―原ノ町間と運転区間が延びた。同年12月10日には相馬―浜吉田間が山側へ移設のうえ、運転を再開している。この間、2015年1月31日には竜田―原ノ町間ノンストップの列車代行バスが運行を開始しており、曲がりなりにも公共交通機関によっていわき―仙台間がつながった。
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