常磐線再開区間「乗れない切符」が買えるワケ 復旧部分にない「190円区間」が示す全通の日

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完全復旧を見越し、信号や線路はすべて整えたうえで運転再開を迎えた。富岡駅の浪江方面を見る(筆者撮影)

好意的に見れば、「わずか2年半ほどの間のこと」と割り切ったとも思える。富岡―浪江間の運転再開は2020年春に予定されているのだ。浪江側の線路を見ると、やはり線路や信号設備は、駅構内に限れば完全に復旧されていた。そして、一部の信号機には、使用停止を示す×印が付けられている。すぐにでも使える状態にできるものと見ていいだろう。ホームも、10両編成の特急が停車できるだけの長さが整備され、当面、使用しない部分は柵で区切られていた。

券売機にも「全線再開」の準備が

駅舎内の自動券売機にも「来るべき復活の日」を思わせるプログラムが組み込まれていた。頭上に掲げられた運賃表は富岡―浪江間が途切れた形で描かれ、紙などで覆われた状態ではなかった。けれども自動券売機では190円の乗車券が発売されており、実際に、記念として買い求めた鉄道ファンの姿もあった。しかし、富岡と隣の駅、竜田との運賃は200円。190円で行ける駅は、不通区間に含まれる夜ノ森しかないのである。

賑わいがあった「昔の姿」に戻ることが難しい地域であることは間違いない。しかし、昔の姿に一歩でも近づこうと努め、全線運転再開の日を予期することは、極めて好ましい姿勢ではないかと思う。

ただ、それまでにかかる時間は決して短くはない。願わくば、高齢者への介助など、使いやすい鉄道、駅へ向けての工夫は、すぐにでも始めてほしいところだ。

土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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