格差を騒ぎ立てるメディアに違和感しかない すき家の小川賢太郎氏が語る「日本の問題点」
――今回の選挙ではアベノミクスに対する評価も争点になる。株価や雇用の統計は改善しているが、国民には景気回復の実感が薄いのでは。
それはマスコミが作り出しているイメージではないか。インターネットのアンケートなどを見ていると、若い世代の4分の3は「今のままでいい」と現状に満足しているようだ。それでいいとは思わないが、「格差、格差」と騒ぎ立てるメディアの論調にも強烈な違和感がある。これは、いわば日本における「ヒラリー現象」だ。先の米国大統領選でヒラリー・クリントンは「格差をなくそう」と呼びかけたが、米国民の多くは「格差はいけないと言っているあなたこそ特権階級ではないのか」と白けてしまった。それと同じ状態だ。
よく日本社会の上部構造は「政官財のトライアングル」と言われるが、財のビジネスは社会における下部構造。本当の上部構造は「政官マスコミ」だと思う。この国をよくするには、記者クラブ制廃止を含めたわが国上部構造の抜本的構造改革が必要だ。
国家資本主義は通用しない
――日本経済の問題点はどこにあるか。
国家資本主義という勝ちパターンが通用しなくなった点にある。日本では1941年に岸信介を始めとする満州経済人脈が、ソ連の5カ年計画を下敷きとする計画経済を始めた。終戦後も、「戦時経済」が「復興経済」と呼び替えられ、財務省(旧大蔵省)や経産省(旧通産省)が主導する国家資本主義が続いた。
それが悪かったと言っているのではない。日本の戦後復興、高度経済成長は国家資本主義の輝かしい勝利だった。しかし、いまやその勝ちパターンが通用しない。日本の誇る優良トップメーカーといわれた大企業でも次々と問題が起こっている。国家資本主義や護送船団では、もう成長は期待できない。
一方で、今度はゼンショーグループや、ファーストリテイリング、ニトリ、ソフトバンクといった流通サービス産業が激烈な国際競争に挑んでいる。かつてドメスティックだった日本の流通サービス産業は、いまや世界で揉まれ、日々、強くなっている。国家資本主義から抜け出すための新陳代謝が起こっているわけだ。
もちろん、これからも日本経済において「ものづくり」は重要な役割を果たしていくわけだが、もはや国家資本主義は通用しない。アントレプレナーがどんどん出てきて、新しい産業が育つ環境を作らなくてはならない。10の新しい業態で20兆円企業を1つずつ生み出せば200兆円。そのくらいの大胆さで産業構造を変えていく必要がある。日本の活性化の基盤はそこにある。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら