工場一筋トヨタ副社長が語る車づくりの真髄 54年現場で働く匠の思いは東大生に届いたか

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トヨタの河合満副社長はモノづくりへの熱い思いを東京大学の学生たちに語りかけた(記者撮影)

「手作業こそ技能の原点だ」ーー

中学校卒業後にトヨタ自動車の技能職養成校に入り、製造現場のたたき上げとして初めて役員まで上り詰めた河合満副社長。10月11日の夜、東京大学の講堂に詰めかけた500人以上の学生を前に、IT化やロボット化が進んでもいかにモノづくりの現場が大事かを熱く語った。

河合副社長は70歳。2015年4月に技能職で初となる専務役員に抜擢され、2017年4月に副社長に就任した。トヨタの企業内学校「トヨタ工業学園」に15歳で入って以来、54年間工場の現場一筋でやってきた”筋金入り”だ。この日は日本自動車工業会が若者に車への関心を高めて欲しいという狙いで各大学で行っている「出張授業」の一環で講演。テーマは「トヨタのモノづくり、人づくり」だ。

匠の姿に憧れ、過酷な現場を耐え抜く

「最初に入った鍛造部は1200度に焼いた鉄の材料をプレスで形を整える職場だった。夏は暑くて冬はめちゃくちゃ寒い。暖房がないから火鉢に炭で暖をとりながら仕事をした。過酷な環境でもなぜ仕事が続いたかというと、先輩や匠のおやじがいてね、いとも簡単にモノを作る。匠の姿に憧れてやってきた」と振り返る。現場の生の話に東大生も聞き入った。

東大の本郷キャンパスにはレクサスの最新モデルや往年の名車が並べられた(記者撮影)

「1963年に入社した当時は本社工場と元町工場の2つしかない小さい会社だった。国内販売は日産自動車に次ぐ2位。いつかは1位になりたいというのが皆の合言葉だった。その後モータリゼーションの加速でトヨタも拡大していった。当時はトヨタがこんなに大きく、グローバルになるとは夢にも思っていなかった。頑張れば夢が叶うということを体験できた。大変幸せだ」と素直に語った。

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