不安に強い人は「諦める」を習慣にしている 人生の苦しみをぐっと減らすコツがある

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ときには、理不尽な不幸や悲劇に見舞われることもあるかもしれません。しかし、そこからどう立ち上がるか、どう希望を見いだしていくかは各人の心次第です。

嫌な出来事や苦しい出来事があっても、悲しい出来事に見舞われても、それに引きずられることなく、心の針をマイナスからプラスのほうへと引き戻す努力をしましょう。

「言葉で言うだけなら簡単だ。それができないからつらいんだ!」

このように思われる方も多いかもしれません。それでも、あえてお伝えします。

できなくてもいいので、努力を続けてください。最初から「できない」と決めつけていては、変化や成長はありません。できなくても諦めずに、コントロールしようとする努力を“継続する”ことに意味があるのです。

今日より明日、明日より明後日……と努力を続けていると、だんだんと、マイナスが定位置となっていた心の針が少しずつ真ん中のほうへ、そして真ん中からプラスのほうへと振れはじめます。

お釈迦様が説いた「人間の4つの生き方」

お釈迦様はかつて、「人間には4種類の生き方がある」というお話を説かれました。その4種類とは、次のようなものです。

・光から光へと生きていく人間
・光から闇へと生きていく人間
・闇から闇へと生きていく人間
・闇から光へと生きていく人間

光というのは、人間が理想とするべき生き方。つまり、明るい光を求め、心の針がつねにプラスの方向を目指している、前向きでポジティブな生き方です。

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一方、闇というのは、怒り、恨み、憎しみ、悲しみの気持ちにとらわれ、心の針はマイナスが定位置となったネガティブな生き方。つまり、人間としての成長を妨げる生き方です。

この説法において、お釈迦様が「闇から光へ」向かう生き方を示唆してくださったことは大いなる希望です。つまり、いま、どれほど真っ暗な「闇」の中にいる人でも、心がけ次第、努力次第で必ず「光」の世界へ行けるということです。

今日から“心の針”の存在を意識してみてください。そして、その針がつねにプラスに向かうように心がけてください。針がマイナスを向いたことに気づいたら、すぐに元に戻す努力をしてください。これが、人生の苦しみを半減させる極意です。

この努力を続けるうちに、いつしか、お釈迦様のおっしゃる「光」の生き方があなたのものになっているはずです。

塩沼 亮潤 大阿闍梨、慈眼寺住職

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しおぬま りょうじゅん / Ryojun Shionuma

1968年仙台市生まれ。東北高校卒業後、吉野山金峯山寺で出家得度。91年大峯百日回峰行満行。99年吉野・金峯山寺1300年の歴史で2人目となる大峯千日回峰行満行。2000年四無行満行。06年八千枚大護摩供満行。現在、仙台市秋保・慈眼寺住職。大峯千日回峰行大行満大阿闍梨。

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