一般人にも罰則「ネット選挙」注意すべき2点 フェイクニュースの拡散で発生する法的問題
また、深澤弁護士は「連絡先」が重要だと指摘する。
「特に気になっているのは、『連絡先の明記のない』選挙運動です。主に、匿名掲示板で散見されますが、ネット選挙においては、メールアドレスなど連絡先の明記が本来は必要です(公選法142条の3第3項)。
ですから、匿名掲示板に連絡先の記載もせずに、『●●候補に投票しよう!』と投稿してはいけません。逆に、匿名であっても、連絡手段が明記されていれば、問題はありません」
さらに、候補者の「なりすまし」も起こりうるという。
「勝手に候補者名のアカウントを作成してツイートする『なりすまし行為』は禁じられています(公選法235条の5)。また、候補者の発言を自動ツイートする『bot』を作成する行為も『なりすまし行為』として禁じられる可能性が高いでしょう」
フェイクニュースで発生しうる法的問題
2016年のアメリカ大統領選では、様々なフェイクニュースが飛び交い、例えば、クリントン氏が、ワシントンのピザ店を児童の性的虐待拠点として運営しているとの虚偽情報が流れたこともあった。日本でもフェイクニュースについての関心が高まりつつあるが、虚偽情報を流した場合の法的責任はどうなるのか。
「候補者について虚偽の事実を公表したり、あるいは、真実をゆがめて伝えたりすると、公職選挙法違反の罪が成立します(公職選挙法235条)。
フェイクニュースは、まさに、虚偽の事実そのものですから、この罪に問われるケースも出てくるのではないか、と思います。
もっとも、フェイクニュースを拡散する人が、『フェイクニュースであることを知らない』場合には、罪に問うことは難しい場合もあるかもしれません。
なお、プロバイダ責任制限法に特例が設けられており、選挙関連の情報については、候補者側からの迅速な削除請求が可能になっています。ですから、候補者側としては、迅速な対処ということがフェイクニュースに対抗するポイントであると思います」