丸井やマルコメが独自アニメでCMを打つ理由 実在人物や有名キャラの起用が抱えるリスク

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かつて世の中に情報を発信できる媒体が限られていた時代は、一定期間自粛すればだいたいのトラブルやイメージダウンの影響は収まっていった。ところが、今はひとたびコトが起これば、過去の行動・言動も含めて徹底的に洗い出され、ネガティブな情報として広がる。

丸井グループのアニメCMはネット上でも話題になった(写真:「猫がくれたまぁるいしあわせ」より丸井グループ提供)

インターネット上には長期間情報が残り続けるため、マイナスイメージを覆すのは容易ではない。スキャンダルとまでいかずとも、SNSへ発信した言動がもとで炎上が起こることがあり、これもイメージダウンやマイナスイメージの固定化につながってしまう。タレントの評判、イメージは企業側ではコントロールできない。多額の製作資金をかけて作った広告が炎上で台無しになるリスクは、以前に比べてはるかに高まっている。

そんな「生身の有名人を使うリスク」を解消できるのがアニメキャラクターだ。炎上やスキャンダル、トラブルのリスクがない。過去を掘り返そうにも過去がなく、うっかり失言をすることもない。

自由度が高くイメージどおりの表現ができる

2つ目の理由は「自由度の高さ」だ。今までのCMにあった有名人や既存アニメとすり合わせを行うことなく、「イメージどおりの登場人物」「イメージどおりの動き」「イメージどおりのシーン」などをつくり出せる。美麗な景色や独特な構図、ファンタスティックな描写も盛り込みやすく、オリジナリティあふれる表現が可能だ。

3つ目は既存のアニメ作品に頼ることのリスクだ。現在放映されているアニメCMの多くは既存作品とのコラボであり、著作権の問題が生じるほか、訴求力が原作アニメの人気に左右されてしまう。このため、人気アニメにコラボ依頼が殺到し、結果的に差別化しにくくなるという事態が生じている。人気の移り変わりもあり、コラボCMの寿命もそれほど長くはない。

4つ目は、アニメキャラクターは年を取らず、体調の影響も受けないことだ。生身のタレントは生きている以上、必ず年齢を重ねるし、病気になることも、鬼籍に入ることもある。しかし、アニメキャラクターは制作側が意図しない限り成長せず、一定のイメージを保つことができる。

ドラえもん(1973年放映開始)やアンパンマン(1988年アニメ放映開始)は、放映開始から30~40年もの間、基本的な姿を変えなくても第一線を走り続けている。CM制作側から見て、アニメキャラはローリスクで思いどおりのイメージをつくり出す「理想のタレント」になりえる可能性を秘めているといえるだろう。

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