米雇用統計、非農業部門雇用者数が予想下回る 失業率は改善も、労働参加率は78年8月以来の低水準

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9月6日、米労働省が発表した8月の雇用統計は非農業部門雇用者数が16万9000人増となり、市場予想より小幅な伸びにとどまった。写真はニューヨークの就職フェア会場で6月撮影(2013年 ロイター/Lucas Jackson)

[ワシントン 6日 ロイター] - 米労働省が6日発表した8月の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比16万9000人増となり、市場予想より小幅な伸びにとどまった。

失業率は7.4%から7.3%に低下し、2008年12月以来4年半ぶりの低水準となったが、労働参加率の低下を反映したもので、米連邦準備理事会(FRB)が今月にも量的緩和縮小に踏み切るかどうかをめぐり慎重な見方が出ている。

ロイターがまとめたエコノミスト予想は非農業部門雇用者数が18万人増加、失業率は横ばいの7.4%だった。

今回の発表では6、7月分の非農業部門雇用者数が下方修正され、当初発表から増加幅が合計で7万4000人引き下げられた。

労働参加率も1978年8月以来の水準に落ち込み、経済の基調的な弱さを示唆した。

雇用統計が概ね軟調となったことで、米金融市場は、FRBが今月の連邦公開市場委員会(FOMC)で債券買い入れ縮小を決定する公算が小さくなったとみている。

統計発表を受けてドルは対円で急落し、債券市場では米国債価格が上昇。米株式市場はプラス圏で寄り付いた。

デシジョン・エコノミクスのシニアアドバイザー、ケアリー・リーヒー氏は「FRBとしても雇用トレンドは和らいでいると認めざるを得ず、それだけでも、今月の債券買い入れ縮小について再考を迫られるだろう」と語った。

8月の雇用統計は17─18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で入念に検討されるだろう。FRB当局者は債券買い入れの縮小について、雇用市場の改善度合いを踏まえて決定する考えを明確にしている。

量的緩和第3弾(QE3)を打ち出した時点で8.1%だった米失業率は、8月までに7.3%に低下した。ただ、これまでの失業率改善の大部分は労働参加率の低下が背景にある。

BMOキャピタル・マーケッツの米国債トレーディング部門責任者スコット・グラム氏は「既に固まっていた債券買い入れ縮小の決定が、(雇用統計を受けて)おそらく若干弱まっただろうが、結局は(縮小に)踏み切るだろう」と話した。

8月の雇用統計は米経済が第3・四半期初め以降、勢いを取り戻せずにいる可能性を示唆する格好となった。

各種統計によると、米国では7月に消費者支出や住宅建設、新築住宅販売、耐久財受注、鉱工業生産がいずれも軟調となった。

一方で、週間の新規失業保険申請件数は約5年ぶりの低水準にあるなど、雇用市場の改善を示す統計も出ている。

8月の雇用統計では、7月に減少していた時間当たり賃金と平均週間労働時間が回復するなど、心強い兆候も一部見られた。

また、部門別では民間が雇用者数増加の大半を占めたが、政府部門も1万7000人増加。民間では7月に減少していた製造業が増加に転じたほか、小売が前月に続き堅調となり、レジャー・接客も底堅さを示した。建設業は横ばいだった。

 

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