アマゾン「法人向けEC」はケタ違いの破壊力だ 商品数は2億超、アスクルやモノタロウを圧倒

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実際、伝票処理コストの削減や、取引の監視を徹底するために、自社で発注・承認システムを構築するケースは少なくない。だが、そのシステム自体が使いにくいものだった場合、社員や職員はそのシステムを使わずに調達し、結局問題が解消されない例もある。

その点、すでに個人の買い物で使い慣れている人が多いアマゾンなら、法人向けECの導入のハードルは低いかもしれない。伝票が一本化されることや、Webを介して発注状況が「見える化」されることで時間的、金銭的コスト削減につながるとすれば、導入のメリットは大きいだろう。

荷物の増加が懸念材料に

事業拡大に向けた不安材料があるとすれば、物流だろう。アマゾンは今回のサービス開始にあたって特に新しい物流拠点や配送網を設けておらず、「通常の対応の範囲内で心配はしていない。個人向けECも新規の顧客が増えれば新しい配送先も増えるので、それと同じこと」(星本部長)と見ている。

アマゾンビジネスでは期間限定で当日、翌日に届く「お急ぎ便」と「日時指定便」を無料で使えるようにしている。サービス認知の拡大に向けたWeb広告なども実施しており、荷物が増えるのは間違いない。一方、ヤマト運輸が取り扱う荷物の数を減らす方針を打ち出すなど、物流業界は人手不足から逼迫した現場の状況が続いている。

満を持して開始した新サービスで、大量に製品や部材を購買する大企業をどれだけつかまえられるか。品ぞろえの拡充はもちろん、便利な購買の仕組みや配送スピードなど、トータルで使い勝手のよいサービスに仕上げられるかが成功のカギとなりそうだ。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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