ジーユー「超ハイテク店舗」はこんなにスゴい 在庫やレビューなど、便利な情報を客に提供

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ジーユー店舗のデジタル化を可能にしたのが「RFID」(Radio Frequency IDentifier)という技術だ。情報を埋め込んだICタグに、リーダー(読み取り機)から電波を発信することで情報をやり取りする技術である。

商品を持って店内のオシャレナビ・ミラーの前に立てば、レビューを閲覧したり、コーディネート情報を見たりできる(撮影:梅谷秀司)

RFIDの特長は非接触で複数を同時に読み取れる点にある。セルフレジにおいては、買い物カゴを専用のボックスに入れ、扉を閉じることで、ボックス内部に電波が閉じ込められ、カゴの中の商品のICタグ全てを同時に読み込むことができる。

棚卸しの方法も変わった。これまでは、商品の入った箱を読み取り端末で1つひとつスキャンするため、かなりの労力がかかっていた。しかし、RFIDを導入したことで、棚すべてを一括してスキャンできるようになった。スキャンした情報と商品リストを照らし合わせるだけで、在庫の把握が可能だ。オシャレナビカートに表示される情報は、これらのデータベースが基になっている。

低コスト化で日本企業の採用が広がった

RFID自体は最新技術ではない。交通系ICカードなどもこの技術を活用したものだ。小売業では海外企業で導入が進んでおり、日本でも急速に拡大し始めている。

セルフレジは買い物かごをボックスに入れ、扉を閉じて使う(撮影:梅谷秀司)

近年、RFIDの注目度が高まった要因は2つある。2011年、リーダーで使われる周波数帯が世界でも主流の周波数帯に移行したことから、海外製品も採用できるようになった。さらに、採用企業が増えたことで、一時100円以上していたタグの値段も10円以下に低下。商品単価が低い小売業界でも使われるようになってきた。

小売業の現場では100%の読み取り精度が求められる。「チップ」(情報を記憶する)関連企業は、どんな環境でも省電力で電波の送受信を行えるよう、出力を調節する機能を発展させている。

「インレット」(電波を受信するアンテナ)関連企業は、面積や形状が読み取りの場所や方向に適した形に個別に設計する。リーダー関連企業は、効率よく確実にアンテナに届く電波の飛ばし方を工夫している。

リーダーを手がける東芝テックでRFIDを担当する渡辺勝利部長は「一方向から読む場合には直線的に、複数の向きから読むときには円のような形で電波を飛ばすなど、さまざまな工夫をしている」と語る。RFIDの小さなタグの中には、各社の技術と知恵が結集されているのだ。

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