ヤマダが本気で挑む「家電住まいる館」の実力 家を丸ごと提案、今年度で20店体制へ

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これまでリフォームや住宅はそれぞれ家電店舗の一角、もしくは単独店として展開していたが、新業態では集約。ワンストップで提案できるようにした。

2年前に採算が悪化し、撤退したヤマダの家電店舗。住まいる館が店舗をそのまま活用したのがよくわかる(記者撮影)

ひたちなかを新業態の1号店としたのは、2年前に撤退したヤマダの空き店舗があったからだ。周辺にはケーズデンキや東京インテリア家具などの競合店があり、厳しい競争環境だ。

しかし、それゆえに業態の実力を試すには最適な立地。以前の建物をそのまま活用し、改装もわずか1週間で完了、異例の早さでのオープンとなった。

家電住まいる館は18年3月末までに神奈川、埼玉、千葉などで20店体制に広げる。すべて既存の店を改装する計画だ。三嶋氏は「絶対に成功させる」と意気込む。

再成長の起爆剤にできるか

ヤマダは、少子高齢化や人口減少で家電の販売だけでは生き残れなくなるという危機感から早々に住宅関連へ舵を切ってきた。

2011年に住宅メーカーのエス・バイ・エル、2012年に住宅設備機器会社を買収。2013年には低価格住宅の会社を作った。今年6月には家具や食器などの販売にも乗り出した。

満を持しての新業態だが、競合首脳からは「しょせん家具店のまね事」といった厳しい声も上がる。三嶋氏は「品ぞろえでは東京インテリアやニトリに勝てない」と認めたうえで、「家電と一緒に快適な住空間を作る」と説明する。

ヤマダの業績は2017年3月期まで3期連続で減収と冴えない。はたして家電と住関連の融合は顧客に評価されるのか。新業態はヤマダの再成長に向けた試金石になりそうだ。

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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