乗り換え検索「駅すぱあと」、大変身の舞台裏

「酔っ払いモード」導入の狙いは?

「売り上げの8割はBtoBなんですよ」と太田社長は切り出した。

一般の利用者からすると「駅すぱあと」と聞いて思い浮かぶのはネット上で利用できる乗り換え検索だろう。多くのネットユーザーになじみ深い「Yahoo!乗換案内」のエンジンはヴァル研究所の「駅すぱあと」のものだ。しかし、このようなBtoBtoCの利用は全体からみると、まだまだ利用が限られているという。

一方、企業や官公庁など、BtoBでの利用実績は大きい。たとえば大手不動産業者のサイトにある物件検索サービスには、公共交通機関でのアクセスを示す機能が付いているが、それらはほぼ「駅すぱあと」だという。

また、多くの中央省庁では、交通費精算はもちろんのこと、通勤費の支給額を決めたり、転勤等で定期券を解約したりする際の払戻額の算出にも「駅すぱあと」を使用している。「駅すぱあと」の機能にある「定期券の払い戻し計算」を活用することで、鉄道事業者に問い合わせる手間が省けるため、業務効率が大きく向上するという。

高齢者などを対象に利用拡大

このように、経営基盤となるBtoBは盤石だ。法人顧客数約12万社に対して現在約13億円の売り上げがあり、今年度からの3カ年計画で23億円にまで売り上げを伸ばす目標を立てている。

太田社長は営業畑を歩み、2015年7月に同社の創業期メンバーの後を継いで代表取締役に就任した。この3カ年計画は就任後初となる中期計画であり、同社が得意とするBtoBを推進することとして目標を立てたわけだ。

経営方針の柱は「個人利用の拡大」と「付加価値を高める」という2つの路線だという。「個人利用の拡大」は、前記の法人利用が安定し、Yahoo!乗換案内も定着していることから、利用者層の拡大策として伸びしろのある分野と考えているという。

ただし、その対象は「駅すぱあと」を導入している企業で働く人たちを主体としている点がユニークだ。完全なコンシューマー市場を狙うのではなく、すでに「駅すぱあと」を業務で利用しているビジネスパーソンの個々に対して、利用機会を増やしてもらう方向を目指しているというのだ。

また、従来は利用者の対象として弱かった高齢者層に、これからはパソコンになじんだ世代が増えていくことも視野に入れている。これらの層は、企業勤めのときに「駅すぱあと」に慣れ親しんでいるケースが多い。そのような人たちに引き続き「駅すぱあと」を利用してもらおうという狙いだ。間もなく定年退職を迎える年代層には「駅すぱあと」の知名度が高いこともあり、利用の促進が期待できるという。このあたりが老舗サービスの強みであろう。

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