「投資ビリギャル」が年15%利益を出せる理由 たった3年の株歴で、プロ顔負けの技を習得

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坂本氏も、「彼女のこの逃げ足の速さが、成功するための大切な要素のひとつ。しかも、数回に分けて利益確定をしていて、最後の1枚が相場の頂点だったりすることもある。撤退する決断が早ければ早いほど、損を最小限にとどめることができるし、買った値段で売り抜ける『同値撤退』も可能だ。負けなければ、またチャレンジすることができる。株式取引のプロであるディーラーも逃げ足が速く、損をコントロールできる人が儲かる」と付け加えた。

兎にも角にも、「板読み」は投資の入り口だけでなく、出口のタイミングも教えてくれる、投資の成功の確率を上げる武器になるということはわかった。

「株主優待銘柄」や「相性のいい銘柄」を探す

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ところで、彼女は何千もある銘柄の中から、どのように投資対象を選んでいるのだろうか。

ひとつは株主優待だ。「優待の権利がもらえる月ごとに分けて銘柄リストを作り、その優待狙いの買いが出始めるタイミングを狙って、中長期的に買う」そうだ。優待人気の高い銘柄は、権利確定までの数カ月にわたって上昇トレンドを継続することもあるため、利益を最大限に享受できる。値動きの癖を生かした投資法だ。

加えて、「相性のいい銘柄をいくつか持っておくこと」も大事だという。「大型株は、参加者が多いため板読みはしづらいが、動きの激しい新興株に比べると下値が限定的だと思う。売られすぎると買いが入ってくるので、トレードのタイミングが判断しやすい。商いが活発に行われている小型株だと値動きも速く、損切りラインを突き抜けて下落したときは、思考が停止してしまう。そうなりにくい銘柄を選ぶことも大事」だと教えてくれた。

儲けたいという思いで始める人が多い「投資」だが、彼女は、株式投資を覚えたことで見える世界が広がり、さまざまなものが冷静に見られるようになったという。

「もともと、普通預金よりよければいいと思っていたし、今もそれが基本。自分に合った投資法を知り、できることが増えたことがうれしい。『習うよりも慣れよ』というが、むしろ『慣れるよりも習え』で、やっぱりいい先生の存在はとても大切。投資は楽しいもの。これからもずっと投資していきたい」と笑顔で話してくれた。

内田 まさみ フリーアナウンサー、ライター

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うちだ まさみ / Masami Uchida

1998年ラジオNIKKEIに入社し、「経済情報ネットワーク」「東京株式実況中継」などの番組を担当。フリー転身後は、アナウンサー業に加え、 雑誌や新聞などでの執筆活動や、ディレクターとして番組や音声コンテンツの制作も手がける。 著書に『FX 億トレ!7人の勝ち組トレーダーが考え方と手法を大公開』。

 

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