観光インフラの整備には「出国税」が必要だ 少額であれば観光客が意識することはない

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現在、ほとんどの国の出国税や空港サービス料は航空券代金と一括請求される。ツアー代金に含まれる航空券のブレークダウン(明細)を気にかける人はまれで、自分が支払った旅費の中に訪問国の税金が加算されていることまでは気がつかないだろう。

さて、こうして各国・地域の数値を見ていくと、アジアからの飛行機による出国の場合はおおむね1500〜3000円ほどの負担が必要という状況が浮かび上がってくる。ちなみに日本の各空港でも空港旅客サービス料としてこの水準の費用を国際線旅客から徴収している。

観光庁は出国税について、各国での徴収方法と同じように「航空券代金と一括請求」といった考え方を持っているようだが、課税額に関して今のところ具体的な指針を示していない。ただ、7月下旬の新聞各紙報道では「仮に訪日客1人当たり1000円を徴収した場合」といった表現が示されているほか、インバウンド関連に携わる関係者らも「訪日客への大きな負担になるほどの金額ではない」と話しており、出国税の導入が日本訪問への意欲をそぐほどの影響をもたらすことはないだろう。

2万円以上の「空港税」を徴収する国も

日本から外国への出発客は、すでに「空港税等の料金」を支払っている。たとえば成田空港の場合、旅客サービス施設使用料(PSFC)と旅客保安サービス料(PSSC)という名目で計2,610円、羽田空港の場合、旅客取扱施設利用料(PSFC)として2,570円だ。慣れもあるため、これを大きな負担と感じる人は少ないだろう。

5000円にもならない空港税よりも、出発日やホテルのよし悪し、そして航空会社の違いなどによる価格変動のほうが大きいからだ。これは日本に向かうアジアの人々にとっても同じようなことがいえるわけで、わずかな負担だったらそれが大きな問題に発展するとは考えにくい。

一方、世界を見渡すととんでもない高額な空港税を課す国もある。

英国政府は「旅客サービス税(APD)」の名で出国者から漏れなく税金を取っているが、長距離国際線の上級クラスに乗る旅客に対してはなんと片道当たり156ポンド(約2万2600円)もの課税を行っており、空港税の額としては世界最高となっている。日本線も例外でなく、夫婦でロンドンからビジネスクラスで帰国したら税金だけで4万5000円以上も納めさせられる格好となる。

さすがに近距離欧州線の利用客から高額な金額は取れないため、こちらはエコノミークラス利用なら13ポンドとアジア水準並みのレベルに収まっている。ちなみにLCC利用でも13ポンドの税金を搭乗客が負担するわけだが、総額が税込み20ポンド以下のチケットもあり、そこまで低額に下げられる企業努力は大したものだ。

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