ソニー復活の源泉「プレミアムシフト」の正体 レンズ交換式カメラでもシェア急拡大

拡大
縮小
プレミアム領域で高シェアを実現した(ソニーヨーロッパ作成資料を筆者が撮影)

ヨーロッパ市場におけるテレビの売り上げが好調な理由は、ここ数年、ソニーが取り組んできたプレミアムシフトが成功しているからだ。これは数字の上でも表れている。

ブランド別のテレビ実売平均単価を比較すると、ヨーロッパ全体の平均が450ユーロ程度なのに対してソニーは750ユーロ前後で安定して推移。これは直近のライバルであるサムスンの600ユーロ前後と比べても圧倒的に高い。

高単価のテレビが売れている

その理由が高価格帯でのシェアの高さだ。ソニーはテレビ売り上げの金額シェアでヨーロッパ全体の10%程度だが、55インチクラスのプレミアム市場(単価1400ユーロ超)で19%、60インチ以上のプレミアムクラス(単価2000ユーロ超)では実に23%のシェアを持つ。高級機になるほど利益率が高くなる。テレビは物理的に大きな商品でもあり、在庫や流通などハンドリングのコストも考慮すると収益性に対する貢献は計り知れない。

上記は主に液晶テレビを中心としたクラス分けにおけるビジネス概況だが、5000ユーロ超える高級機……すなわち有機EL(OLED)テレビにおいては、さらに顕著な数字が出ていた。ヨーロッパにおける5000ユーロ超テレビは台数ベースで全体の10%以下しか存在しなかったのが、ブラビアA1シリーズを投入後は一気に構成比が20%を越えた。その増分はまるまるブラビアA1シリーズの販売数。5000ユーロ以上の65インチモデルは60%、3000ユーロ以上の55インチモデルは70%という圧倒的な売り上げを示している。

こうしたプレミアムシフトの成功に加え、業界全体のトレンドとして、4Kテレビへの買い換え、55インチ以上の大型テレビへのシフトが進んだことで、プレミアム領域のテレビが活況を呈していることが、ソニーヨーロッパのテレビ事業拡大に大きく貢献したという。

次ページハイエンドマーケットを席巻
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT