ソニー復活の源泉「プレミアムシフト」の正体

レンズ交換式カメラでもシェア急拡大

テレビ事業の立ち直りに関しては、別途取材したソニービジュアルプロダクツの長尾和芳・企画マーケティング部門長も「ベストバイ/マグノリアと組んで高付加価値製品販売に取り組んでいる米国でも好調だ。さらに70インチ以上の市場が多い米国では、カスタムインストーラー(内装やオーディオシステムも含めて設計施工する業者)の強い支持を受けており、ハイエンドマーケットも押さえられている」と話していた。

有機ELテレビでも高額品で強い(ソニーヨーロッパ作成資料を筆者が撮影)

むろん、台数ベースのシェアは高くない。しかし、大規模な赤字を垂れ流していたテレビ事業がここまで持ち直し始めていた2年前の時点で、ここまで伸びしろがあるとは誰も予想していなかったのではないだろうか。

プレミアムシフトはカメラでも

ソニーヨーロッパにおける、もっとも顕著な改善例ということでテレビにフォーカスして紹介したが、こうしたプレミアムシフトは他の商品分野でも起きている。

ソニーが得意としてきたデジタルカメラ領域は、市場全体が縮小を続けているが、ここ数年はプレミアムコンパクトと言われるクラスでRXシリーズが安定してシェア上位だ。これに加えて、35ミリフルサイズセンサーを搭載するレンズ交換式カメラにおいて、ニコンを抜いて安定した2位の足場を築いただけでなく、キヤノンの背中さえ見えてきた。

A9が高い評価を得ている(ソニーヨーロッパ作成資料を筆者が撮影)

今年6月の数字では、キヤノン37.4%に対してソニーは31.8%。国ごとにみると、ドイツ、スペイン、オーストリアなどではキヤノンを逆転した。とりわけドイツでは42.1%のシェアを獲得し、キヤノンの30.5%に大差を付けている。

これはフルサイズセンサー搭載のフラッグシップミラーレス機「α9」を投入した効果が大きいが、実は写真専門店と共同でのイベントやマーケティング施策など、カメラコミュニティへのコミットを地道に続けてきたことが結果として表れたものだという。

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