トランプ発言が北朝鮮紛争を招く本当の理由 「戦争用語」を理解していないから怖い

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バラク・オバマ政権時、核兵器拡散防止専門家を務めたジョン・ウルフスタール氏は、戦争抑止が米国政策の礎として残るべきだと主張する。北朝鮮による核武装がどれだけ心地のよくないものだとしても、「われわれが長い間直面してきた脅威の性質を変えるものではない」と、ウルフスタールは話す。

ワシントンポスト紙は最近の社説で、北朝鮮を交渉の席に連れ出すことを試みるために、一歩進んだ経済制裁と戦争抑止が組み合わせられるべきだと主張した。

一方、オバマ政権で国務次官補(民主主義・人権・労働担当)を務めたトム・マリノフスキー氏は、金体制をひそかに傷つけようとする巧妙な努力が、政策調合の重要な一部であるべきだと主張している。米国は時間を稼ぐために戦争抑止を使うことができ、また金体制をしだいに弱めるために制裁よりもより効果的で、先制攻撃よりも危険度が低い方策を使うことができる。

金政権を脅かしているのは

「われわれは北朝鮮の核の小型化を心配している。一方、金政権を脅かしているのは、情報テクノロジーの小型化だ」と、マリノフスキー氏は最近メディアで語っている。

これには、外の世界を現実どおりに描写する映画やテレビ番組など膨大な量のデータを保管できるUSBデバイスやSDカードが含まれる。少なくとも300万人の北朝鮮人が携帯電話を持っている。中国製のDVDプレーヤーを北朝鮮に密輸するのは簡単だ。闇市場は同国の至る所にあり、金王朝の正統性をひそかに、そしてゆっくりと傷つけることにつながるようなあらゆる種類のコンテンツに北朝鮮人がアクセスすることを可能にしている。

政治専門紙、ザ・ヒルの執筆を務めるマイケル・マザール氏と、マイケル・ジョンソン氏は、北朝鮮に関係して「抑止、阻止、変貌」という言い回しを作り出し、北朝鮮内ではすでに変化が起こりつつあると主張している。

外交には忍耐が必要だが、トランプ大統領を見るかぎり、こうした要素を持ち合わせているようには見えない。しかし、フラストレーションがたまっている米国の外交および安全保障関係者の手元にある選択肢のうちでは、最良のものかもしれない。

ピーター・エニス 東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)

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Peter Ennis

1987年から東洋経済の特約記者として、おもに日米関係、安全保障に関する記事を執筆。現在、ニューズレター「Dispatch Japan」を発行している

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