トランプの「新北朝鮮戦略」は日本の救世主だ バノン更迭は北朝鮮への最後通告として有効

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「炎と怒り」発言に次ぐ、トランプ大統領とマティス国防長官の強い警告は、核の抑止という範囲を越えて、核戦力を行使する可能性まで示唆したものだ。筆者が長年働いてきたウォール街流の表現で言えば、最大級の「ネイルダウン」(ダメ押し)ということになる。要するに「ミサイルを発射するな、発射したら最後だぞ」という含意である。

北朝鮮によるミサイル発射を宣戦布告と見なすかどうかは、後づけの法的な政治論ともなりうるが、そもそも緊急時には、米国は当然それに対して迎え撃つ。その場合、同盟国の日本がイージス艦によるミサイル迎撃に出る可能性もある。その点について、先の国会論議では、民進党の後藤祐一氏の「集団的自衛権の行使によって日本は迎撃できるのか」という質問に対して小野寺五典防衛相は「できる」と答えている。

15日、トランプ大統領と安倍晋三首相との電話会談では、北朝鮮のミサイル発射阻止で一致したと発表された。さらに17日、ワシントンで行われた日米外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)でも、北朝鮮の暴走を非難し、核・ミサイル開発停止に圧力をかけ続ける方針を確認した。ただ、日本の集団的自衛権の行使によるミサイル迎撃については触れていない。これは見逃すことができない重要な点だ。

流行語「プリベンティブ・ウォー」の危うさ

日米「2プラス2」では、日本の集団的自衛権の行使によるミサイル迎撃について、なぜ触れていないのか。おそらくトランプ大統領とマティス国防長官の強い警告によって、北朝鮮の金正恩委員長に対して、ミサイル発射を見送らせることに、全力を傾注していたからではないか。

15日の日米首脳の電話会談ではミサイル発射阻止で一致している。もしミサイルが発射されれば、憲法解釈論もへったくれもない。一国の憲法解釈を超えた事実問題となる。ミサイル発射を宣戦布告と見なして、米国が迎撃に出て戦争になった場合、宣戦布告は北朝鮮によるものだが、事実上の因果関係のなかでは、日本がミサイル迎撃に出ることによって、核戦争への引き金を、日本の迎撃が結果的に引く可能性もありうる。

そうした展開は何としても避けなければならない。いまのところ、それが避けられているのは、トランプ・マティス2連発の最大圧力の「ネイルダウン」(ダメ押し)が効いているからだ。トランプ大統領は「ミサイル発射をさせない」と明確に、強い警告を発している。それが、地政学的に日本を挟む形で起きかねない核戦争から、結果的に日本を守り、かつ救うことにつながる。

日本を救うことができるのは、トランプ大統領をおいてほかには誰もいない。バラク・オバマ前大統領は、東日本大震災のときの大津波による災害対策では、トモダチ作戦と称して手助けしてくれた。しかし、北朝鮮問題では無力だったろう。現に、北朝鮮の核問題には、戦略的「放置」に近かったオバマ前大統領の無策によって、今日の北朝鮮の暴走という現実がある。

世界最大の核保有国の米国と、事実上の核保有国の北朝鮮という、2つの核保有国同士が一戦を交えるということは、史上初めてのことだ。その核戦争の危険性がまったくないとは言い切れない。そういう状況下で、日本がその引き金を引くような事態はあってはならない。

しかし、米英メディアでは「プリベンティブ・ウォー」(予防的戦争)という言い方がはやっている。それはいったい何を意味しているのか。それは、戦火を極東アジアで収める。端的に言って、日本と韓国を犠牲にする戦争ということだ。

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