民進党「前原vs枝野」が盛り上がらない必然 なぜ「最後の代表選」と揶揄されるのか

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北朝鮮が7月に2度にわたってミサイルを発射し、グアムに向けての攻撃をも示唆している。そして代表選が告示された21日は、米韓合同軍事演習が始まった日でもある。北朝鮮がこれに非常に関心を抱いており、米国が北朝鮮の動向について最大の警戒をしていることは明らかだ。

また尖閣諸島近辺では、中国船が頻繁に出没している。6月から7月にかけて、海洋調査船「勘407」や「向陽紅06」、「科学三號」などが我が国のEEZ(排他的経済水域)内で違法な調査活動を行った。また8月には中国公船の「海警2506」や「海警1304」が我が国の領海内に入域している。両船は7月に、対馬海峡と津軽海峡に入域した。その動向は目が離せない。

ところが前原氏の主張にも枝野氏の主張にも、こうした安全保障の観点が皆無だ。「野党の代表選だから」という言い訳は通じない。2012年9月に行われた自民党の総裁選では、自民党は野党であったが、少なくとも安倍晋三候補(当時)は尖閣問題や慰安婦問題についても言及していた。

国民の願いをわかっているのか?

忘れてはならないのは、ほとんどの国民はより豊かになることを望み、自分がいる場所が安全であり安心であることを希望している点。それが実現されるなら、どの政党とどの政党がくっつこうが、大した関心の的にはならない。

この時の総裁選で当初は劣勢だった安倍氏が勝利し、同年12月の衆議院選で自民党が政権に復帰できたのも、こうした観点を忘れていなかったからではないか。

そもそも民主党政権の凋落が決定的になったのは、その末期に乗じて中国が尖閣近海に接近し、李明博韓国大統領(当時)が慰安婦問題を持ちだし、天皇陛下の謝罪を要求し、竹島に上陸した時期と重なる。自民党はそれにいち早く気付いたが、民主党は為す術がないまま崩れていった。

「代表選が終わったら、蓮舫体制以前の数字に戻れるのだろうか」

ある民進党の議員が政党支持率についてこう尋ねてきた。かなり控えめな問いだが、その実現も簡単ではないだろう。まともな野党第1党としては10%台後半はほしいところだが、2桁がやっとではないか。

さまざまなところから「最後の代表選」と揶揄されている今回の民進党代表選。最後のリーダーは誰になるのだろうか。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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