「新幹線」正規料金安いが割引で世界に負ける 世界の高速列車の「料金」を徹底比較
まず、正規料金(乗車変更が可能な切符)について比較してみよう。最も高いのはロンドン―パリ間を走るユーロスターで、1km当たり57円。2番目に高いのがベルン―チューリッヒ間を走るインターシティで同34円、3番目に高いのがアムステルダム―パリ間を走るタリスで同34円という結果になった。東海道新幹線・東京―新大阪間は同28円で、「新幹線は国をまたいで走る欧州の国際高速列車と比べるとむしろ安い」といった実態が浮かび上がってくる。こうして細かく見ていくと、新幹線は高いという印象は必ずしも当たらない。
欧州では事前購入がふつう
冒頭の例のように、ロンドン―パリ間を鉄道で行くと往復6万円近くかかることもある。東京から「のぞみ」で行く新大阪までより距離も時間も短いにもかかわらずだ。では、乗っている人は皆そんな高い金額を払って乗っているのだろうか。
そこで、続いて最低水準料金について調べてみた。最も割安なのはストックホルム―マルメ間を走るSNで1km当たり5円。第2位がフランクフルト―ベルリン間を走るICEの同7円、3位がローマ―ミラノ間を走るフレッチャロッサの同9円という結果になった。
今回の料金比較を行うに当たり、新幹線の料金について何を比較対象に持って来るか選定に苦慮した。なぜなら、欧州では外国人を含む誰もが格安料金で買えるが、「のぞみ」の場合は有料会員として登録しないと割引特典が得られない。そこで、とにかく誰でも買える東京から新大阪に行ける最安値として「ぷらっとこだま」の価格を掲げることにした。結果は1km当たり20円。欧州の水準と比較してみると、キロ当たりの料金はフランスのおよそ2倍、ドイツの約3倍に達する。
車両のスペックが「新幹線よりも明らかに上」とも言われる「フレッチャロッサ(ETR1000)」を使ったローマ―ミラノ間と比べても、新幹線の方が倍高い。正規料金ではそれほど日欧間で差異はないが、実際に旅行客が買い求める実勢価格で比べると新幹線はやはり「高い乗り物」であると言わざるを得ない。
欧州では、事前購入チケットは国によっては正規料金の7ー8割引と想像以上に安い。ユーロスターも多分に漏れず、安い時期ならロンドン発パリ往復きっぷの片道分は35ポンド(約5000円)、片道きっぷを単体で買っても40ポンド台だ。
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