「ポケモンGO」を生んだ男が語る技術の本質 「ビジネスの現場はソフトが物事を左右する」
実際にはビジネスの現場では、ソフトが物事を左右することが多いです。たとえば自動運転がそうで、自動運転を実現するためにはセンサー部品の技術革新が不可欠ではあるのですが、その核心にあるのはソフト。このあたりはいいエンジンを作って時速300kmを目指す、という自動車産業のアプローチとは違いますね。
それでも、ハードを理解しないとソフトも差別化できないので、今のテック産業ではハードを理解することは絶対に必要なんです。
世界を変える夢を本気で語る
――大学院を出て、グーグルの日本法人に入りました。
グーグルのクラウドコンピューティングに触れることで、スパコンとは全然違う角度から学ぶことがたくさんありました。何よりも人!同じ関心を持って話せる人にたくさん出会えました。大学院、グーグルの日本法人と来て、情報を共有できる人の数が加速度的に増えました。
そうして米国に来たわけですが、ここシリコンバレーとほかの都市の何が違うのか。最大の理由は、ここではテックについて夢を語れる、ということです。誰もが自分の技術やビジネスで世界を変えられると信じている。日本で「世界を変える」なんて言うと、ばかにされるでしょう? でもこっちでは本気でそう思っている人がいる。その話を聞いた相手も「それならこうしたらいいよ!」とアイデアを出す。すごく刺激的な環境です。
――ポケモンGOは世界をどう変えるのですか?
ナイアンティックが目指しているのは、「人を外に連れ出す」ことです。それを忠実に実行したのがポケモンGOでした。外に出るという行為は、エクスプローラー・エクササイズ・ソーシャルという3つの要素から成り立っています。外の世界を探検して、歩いて体を動かして、人とも出会う。それをモバイルゲームというメディアで実現しようというのが、ポケモンGOとナイアンティックです。
――なぜ外に出ないといけないのでしょうか。
外に出て人に会って、今まで知らなかったことを発見すると、世界は少しよくなるんじゃない?という価値観です。僕たちの仕事では今日みたいにオンラインでミーティング(注・グーグルのハングアウトを使ってインタビューした)することも多いですが、それと同じぐらいに会わなきゃ進まないことも多い。
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