――もともと45分のストーリーを、90分近くある1本の作品にする、ということに関してはいかがでしたか?
新房:まずわれわれは、アニメ的な飛躍する世界を描き出すのか、原作に忠実になぞったものを描き出すのか、どちらにするのかを考えた。でも大根さんの脚本の第一稿を読んで、原作寄りにいく方針を固めました。
――物語としてはいかがでしたか?
新房:原作には少年向けのジュブナイルSFのにおいがあるなと思いました。僕は(1970年代から1980年代にかけてNHKで放送されていた)少年ドラマシリーズなどをよく観ていましたし、ジュブナイルが好きなんで。その流れに入りたいと思いましたね。
ヒロイン・なずなの扱いを最も重視した
――それにはうってつけの題材だった。
新房:でもそれは、やっているうちに気づいたという感じですね。最初は青春もののイメージというか、女の子を美少女にしなければと思っていたのですが、脚本の打ち合わせをしていくうちに、これはSFジュブナイルだなと思うようになった。今回は僕たちがやりましたけど、いつ日かまた違う人が「打ち上げ花火~」をやってもいいのではないかと、思っています。
――それこそ「時をかける少女」にいろんなバージョンがあるように。
新房:そうです。いろんな時代のifというか、作品があってもいいんじゃないかなと思うようになりましたね。
――原作ドラマをアニメ化するにあたり、大事にしようと思った点は?
新房:やはりヒロインのなずなをどう扱うか。なずながかわいくなければ始まらない。そこに尽きます。映画を観たときに、なずなが変なキャラだったら、この作品は絶対にダメになると思いました。
――手応えとしてはいかがですか?
新房:観た方が皆さん、「なずながエロい」と言ってくれたんで、手応えはありますね(笑)。キャラクターを立たせることができているので、ものすごくいけるなという気がしています。
川村:菅田(将暉)君も記者会見で、「なずなはエロいです」と、繰り返し言っていましたからね(笑)。
新房:そこは一致してますね。
――なずなには、大人でもない、子どもでもない。中学生とは思えない不思議な存在感があります。
川村:実写では、ヒロインを演じた奥菜恵という存在が大きかった。そこに対してどういう画でそこに立ち向かうかということをやっていくうちに、どんどん色気が出てきたというか、すごいものになっていった。もちろん渡辺明夫さんのキャラクターデザインがよかったんですが、アニメーターたちがみんな原作ドラマを好きでいてくれたので、アニメーターの描く絵がどんどん盛られていったというところがあります。
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