東洋ゴム、北米で大当たりした「ニッチ戦略」 日系の中でSUVブームの恩恵を最も受けた
東洋ゴムは今上期、原材料価格高騰による営業利益の押し下げが89億円ありながらも、218億円の営業利益をあげ、営業利益率は11.4%と2ケタを維持する。免震用ゴムのデータ改ざんなど一連の不祥事の影響が完全には払拭されたわけではないが、北米事業の好調さが同社を支えた。
国内3位の横浜ゴムが今上期16.8%増益と健闘を見せたが、営業利益率が5.9%にとどまったことを踏まえると、東洋ゴムの好調ぶりが際立っている。
補修用タイヤ市場の攻略に各社の違いも
北米の新車販売は2017年上期(1~6月)には前期比2.1%減に落ち込んだ。前年を下回ったのは実に8年ぶりだ。リーマンショック以降の買い替え需要が一巡したとの見方が強い。
しかし、減速感が強いのはセダンなど乗用車で、SUVやピックアップなどの大型車は現在も高水準の販売が続いている。今後、北米で大型車の需要に多少のブレーキがかかったとしても、補修用タイヤの確実な販売が見込める。だからこそ各社とも対応を急いでいるのだ。
今年投入したSUV用タイヤが早くも年間予算を超すオーダーを抱えた横浜ゴムは米国工場での生産は難しいと諦め、国内の三重工場からの出荷を増やす構え。
一方、住友ゴムは「需要に対して供給が追いついていない。とくに大口径の品種が足りず、タイ工場から出すだけでなく、(米国の)バッファロー工場でもつくれるように準備をしている」(池田育嗣社長)と、バッファロー工場での早期出荷を目指し懸命だ。そして、世界王者ブリヂストンも、SUV用タイヤの増産を急ぐ。
その中でも「需要によりマッチした生産ができるようになってきた」(清水社長)という東洋ゴムの独自性は際立つ。ピックアップトラック用タイヤで高いブランド力を築いた東洋ゴムの優位はしばらく続きそうだ。
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