「日本人の休み方」はフランス人には不思議だ 休みなのに詰め込みすぎは疲れない?
あまりおカネに余裕がなければ、近くの田舎でちょっと面白い宿に泊まったり(最近はモンゴル風の「ゲル」やツリーハウスがはやっている)、湖の浜辺でゆっくりと過ごすのも楽しい。また、友達みんなで宿を借りて、一緒にわいわい過ごすのもフランスではよくあることで、4年前には12人でコルシカ島を訪れ、バーベキューをしたこともある。ビーチやアウトドアを楽しんだ後、ロゼワインを片手に、プールでぼーっとしながら本を読んだりして、最高の1週間だった。
「バカンス(vacance)」というフランス語自体は、「留守にする」「欠勤している」「いないこと」という意味だ。つまりオフということである。もちろん、自営業者や企業の経営者など、休み中でも仕事のことを考えている人はフランスにも一定数いる。しかし、こうした行為は「あまり健康なことではない」とフランスでは見なされている。そういう人も、海で泳いだり、バーベキューをしたりしているうちに、当初気になっていた仕事の心配ごとや悩みが、どんどん薄れていくものだ。
「何をする」という目標がないほうがいい
「今の社会はあまりにいろんなモノであふれ、いろんなことを同時にやろうとしすぎている。そんな生活とキッパリお別れするために、必要最低限のモノだけを持ってキャンプしたり、海外旅行に行ったり、バカンスを取らないといけない体になってしまった」と、最近ある友達が話していた。この発言は、いかにもフランス人らしい。
確かにフランスの場合、休むなら長く、じっくり、そして大してモノを持っていかない。むしろ、何をするかといった目標があまりないほうがいいとされる。そのため、フランスとイタリアをたったの5日間で回り、お土産をトランクに詰められるだけ詰め込んで帰っていく日本人を、フランス人はとても不思議な人たちだと実は思っている。
とある夏、日本に遊びに行ったとき、こんな出来事があった。リュックが壊れたためスーツケースを買おうと、百貨店で店員さんにアドバイスを求めたところ、「4日間の旅行にはこれ、1週間用にはこれ」と、商品を丁寧に薦めてくれた。しかし「5週間用のトランクを探している」と言った瞬間、店員さんはあまりの驚きで黙ってしまった。最終的に店にあったいちばん大きい1週間用ではなく、4日間用を買うと伝えたときは、私のことを理解するのもあきらめてしまった。
実際、フランス人がどうやって1カ月も旅行しているのか、想像がつきにくいと思うので、少し説明したいと思う。
まず大事なのは旅行のスケジュールをシンプルにすることだ。日本人が短時間で無理やり予定を詰め込むのに対して、フランス人は旅行先でする活動を絞る。おカネのかかる活動は制限し、目的地で誰もがやるメジャーな行為(たとえばパリならエッフェル塔に上るとか)はあえてしない。
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