英国「静かな車両」は大声会話も携帯も禁止だ 外国人も「シャカシャカ音は嫌いだった
ちなみに、イギリスなど欧州で長距離列車に乗ると、隣の人と何かしらのおしゃべりが弾む事がある。そんなこともあり、特に週末の列車だと車内は日本と比べてかなりうるさい。昔の列車は、車内がコンパートメントと呼ばれる小部屋で区切られ、向かい合わせで椅子が並んでいたので、その頃の名残かもしれないが。もっともそのおしゃべりが煩わしい、と感じている人も最近は増えているようだ。
Quiet Coachを子どものしつけに使おうとしたママもいる。
「うちの子どもは自宅にいるととにかく動き回って、宿題なんて全くしない」と嘆くあるママさんは、静かに勉強をさせるのにQuiet Coachに乗せることにしたという。「周りの人々が静かにしているのを見て、自分もこうでなくてはいけない、と勉強に集中してくれるだろう」と期待をかけたのだが、結果はまったく逆。しばらくはそれなりにテキストに目を落としていたものの、途中で電車に乗っていることが楽しくなってしまい、宿題を放り出して騒ぎ出したという。
「仕方がないので、諦めて普通の車両に移ることにしました。大失敗の一言に尽きます」と残念がっていた。まぁ、この作戦はあまり機能するとは思えないが、Quiet Coachは時間帯によっては本当に静かだ。
英国にも騒がしい乗客はいる
一方、普通の車両ではどんなことが起こっているのだろうか。
前述のように、携帯のおしゃべりは電波が通じる限り、極端な大声でも出さなければ許容されるのが普通だ。特にQuiet Coachの設定がないロンドン地下鉄でも大体そんな雰囲気なので、事故で遅延している時などは電車が地下から地上に出た途端、乗客が一斉に電話をかけるといった光景も見られる。
スポーツ観戦に向かう列車に乗り合わせようものならその騒ぎはすざましい。応援歌を突然歌い出すグループもいるし、長距離列車なら乗り合わせた周りのサポーターのビールを振る舞う人さえもいる。これが、試合後の列車では、応援していたチームが負けるとスゴスゴとQuiet Coachに座って下を向いて帰宅するサポーターもいる。「放っておいてほしい」と思う人にはQuiet Coachは絶妙な環境なのだろう。
言うまでもなく、日本では公共交通機関での携帯電話の使用は「固くお断り」の状況が続いている。しかしながら、訪日客が増えゆくいま、「移動中の時でこそ、あちこちに連絡を取りたい」「旅の最中にわからないことを誰かに聞きたい」といった要望を持つ外国人も少なくない。ただ「ケータイの使用はご遠慮を」と言い続けるのではなく、五輪開催を前に、見直すべき問題として捉えるべきことなのかもしれない。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら