アップル新本社「宇宙船」は非常識の塊だった 敷地内には果樹園・牧草地・池まである

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クパチーノでは、テクノロジー企業はまったく珍しいものではない。アップルは何十年も同市を本拠地と呼んでいるし、アップルの新本社ができる場所にはもともとヒューレット・パッカードがいて、9000人の従業員が働いていた。テクノロジー系の大企業の存在により、シリコンバレーの不動産が米国で最も高価な部類に入るようになって、この10年で周囲の街も変わっていった。

しかし、市の担当者はアップルのようなプロジェクトはいままでに見たことがないという。観光客までやってくるほどなのだから。

アップルの新本社があるバードランドに住むニールセン夫妻(Laura Morton/The New York Times)

見物人は通りから宇宙船の写真を撮る。テレビ局のヘリコプターが上空を旋回する。アマチュア写真家は近隣の住民に、ドローンを操縦したいので敷地内に入っていいかと尋ねる。アップルパークにもっと接近した写真を撮るためだ。

「『ああ、いいよ』って答えるね」と、宇宙船の向かいにあるバードランド地区に住んでいるロン・ニールセンは言う。「もちろんだよ」。

ドローンで上空からの写真を撮れるのも、歩行者がカーブしたガラスで覆われた建物を視界いっぱいに見られるのも今のうちだ。やがてアップル本社は人工の森で隠れてしまう。

ジョブズの最後のプロジェクト

この新本社は、6年前に亡くなった伝説的創業者、スティーブ・ジョブズが始めた最後の大規模プロジェクトのうちのひとつだ。亡くなる数カ月前に、ジョブズはクパチーノ市議会を訪れ、創造とコラボレーションの拠点となる、ガラスで覆われた未来的な円形の建築物の計画について説明した。その2年後、市議会は全会一致でアップル本社の計画を承認した。

アップルパークには、例の宇宙船のような円形の建物と、スティーブ・ジョブズ・シアター、そして9300平方メートルのジムがあり、ビジターセンターも森の中に建つ。森には3.2キロメートルのジョギング・ウォーキング用のコースがあり、宇宙船の円の内側には果樹園や牧草地、池も設けられる。

アップルの現在の本社(Laura Morton/The New York Times)

このプロジェクトには全体に、アップルの細部へのこだわりが表れている。特注の窓ガラスはドイツ製で、曲面ガラス板としては世界最大と考えられている。ガラス製のドアには高さ28メートルのものがある。クパチーノの市政管理官、デービッド・ブラントによると、地下のコンクリート製駐車場はピカピカに仕上げられているので、まるでガラスのように見えるという。

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