24時間テレビの“偽善商法”にモノ申す 愛は地球を救わず、芸人を救う?

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高額報酬は構わないが、コンテンツのレベルが低い

24時間テレビについては、“愛は地球を救う”というより、“愛は芸人を救う”というのが現実で、メインパーソナリティやチャリティーパーソナリティへの高額報酬が取りざたされてきた。ちなみに彼らが高額の報酬をもらうのは、“偽善商法”と理解している人にとっては当たり前の話で、視聴率を稼ぎスポンサー企業が広告効果を認めているかぎり外部がとやかくいうことではなく、ビジネスとしていい仕事をしてくれればいい。

ただ“チャリティー”という年に一回だけ注目されるコンセプトだけに、社会貢献などのイメージを打ち出したい企業にとってはスポンサーのしがいのある番組であるはずなのだが、ビジネスの観点からみても、もう少しマシな“社会貢献コンテンツ”を創れないのだろうか。

“愛で地球を救う”ことに関心のない、24時間テレビ

おそらく日本テレビの中にも現在の24時間テレビのコンテンツの貧困さに問題意識を抱いている人はいるのだろう。しかし安易な前例主義となまじっか視聴率がこれでもとれるだけに、ショボイ現状に安住してしまっているようだ。そして“愛で地球を救う”コンセプトを突き詰めたり、もっと日本社会が地球上の様々な問題に対し何ができるのかを考えず、安易な国内志向の偽善コンテンツで視聴率を稼ぐことばかり考えているように見える。

本来ならば、インドやアフリカ内陸部の貧困にサブサハラのHIV、北朝鮮の飢餓や南米の児童労働、日本国内の人身売買など世界の社会問題を幅広く取り上げ、それを支援するNPOを特集し、視聴者の問題意識に応じて世界で助けを必要としている人に手を差し伸べる枠組みを創れるはずだ。

たとえば、世界の社会起業家を支えるアショカ財団の取り組みを紹介したり、世界各地で難民や避難民の支援を行うJENの活動内容を伝えてネットと連動して寄付をつのったり、ソーシャルボンドの英国での取り組みを紹介したり、KIVAが手がけるマイクロファイナンスを特集したり、そこでのインターンや就職の機会を伝えたり、いくらでも“愛で地球を救う”人を増やすためのプログラムが作れるのではないか。

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