キヤノン御手洗会長、カメラビジネスに強気 御手洗冨士夫キヤノン会長兼社長に聞く
医療1000億円は15年以降に遅れる
――現在のキヤノンの連結売上高の9割以上がカメラと事務機が占めている。新規事業が育っていない。
「うちの事業は、カメラと事務機の他に、産業機器と医療機器があるが、産業機器がまったく不振。露光装置は半導体と液晶の業界が低迷しているので、結果としてカメラと事務機で9割を占めるいびつな構成になっている」
――400億円超の医療機器事業の売上規模はどう伸ばしていくか。
「現在はポータブルX線画像診断装置と眼底カメラの2事業が柱。X線は順調だ。眼底カメラはポーランドの会社を買収して開発を強化している。次の段階が、光超音波マンモグラフィーで、乳がん検査について京都大学と研究している。これは来年くらいに製品化する。次は、米国で開発した遺伝子診断装置で、バージニア州の工場の敷地に製造拠点を設けて2015年に量産を開始する」
――医療事業の売上高は2015年までに1000億円を計画していたが、達成できるか。
「1000億円になるのは15年より遅れる。乳がん検査にしても、製品はできても認可に時間がかかってしまうので、売り上げにすぐに結びつくわけではない。医療事業は本格化するのは2016年からの中期経営計画になる。医療機器のM&Aはいろいろ探しているんだけど、なかなかちょうどいい案件がなく、正直にいって具体的なものはない状態だ」
――医療機器業界は、GE、シーメンス<6502.T> 、フィリップス、日本では東芝<6502.T>などの巨大産業がCTスキャンやMRIなどの機器市場を抑えている。キヤノンはどう戦うか。
「うちの医療事業は、カメラのような大きな規模にはならない。われわれはポータブルレントゲンや眼底カメラなど他がやっていないニッチなところをやっている。世界のメジャーになるつもりはないし、なれない。スケールメリットはないが、利益率は高い事業になる」