日経平均が一気に1000円以上動くのはいつか 7月はこのままだと30年ぶりの小さな値幅に

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すでに今週から国内企業の4-6月期の決算発表が本格化しています。今は人工知能(AI)を駆使し決算短信を読み込むのが速くなったせいか、株価の反動も「超機敏」です。凪相場に慣れさせられた個人投資家はとてもその速さについていけず、業績の良し悪しよりも値動きのよさだけに便乗する「決算プレー」の短期売買が増加することが見込まれます。

ヘッジファンドのタイプでも比較的多い、株式ロング・ショート系のパフォーマンスが5月以降やや持ち直してきていることから、決算を材料にした売買にも積極参戦しやすいようです。しかし、今回の筆者が注目したいのはそういった短期資金ではありません。

筆者が注目しているのは、一度買ったらしばらく売らない長期資金の動向です。証券会社のアナリストによる企業決算発表前のプレビューリポートがなくなり、機関投資家の資金流入も発表後に偏るものと思われます。先週、好決算を発表してから上場来高値更新を続ける安川電機のように、4-6月決算時点で通期見通しを強気に出してくる企業はそんなに多くはなさそうです。

しかし、決算で複数の指標から見た「割安度」さえ確認できれば、株価上昇を見越した買い方をしてくる可能性が高いとみています。「今でも割安なのはわかっている」「でも、どうせ期初の4-6月決算だから通期見通しは控えめだ」と静観するものの、安川電機のように強気見通しが増えてくると、米国株が史上最高値を更新する中、焦って買い出すのではないかとの見立てです。もっとも、国内勢よりも先に日本株をオーバーウエートする黒船(海外の年金基金)の出現が予想されますが、年末にかけては景況感の改善に円安方向への反転が味方になることで、企業業績への期待(1株利益の上方修正期待)が高まってくるのではないかと思っています。

ジャクソンホールで3年ぶり出席のドラギ総裁に注目

さて、8月の大きなイベントとしては、後半にカンザスシティー連銀主催で開催される米ワイオミング州ジャクソンホールでの年次シンポジウム(24-26日)があります。今年は金融市場で今いちばん影響力があるECB(欧州中央銀行)理事会のマリオ・ドラギ総裁が3年ぶりに出席します。ドラギ総裁は前回のECB理事会で、6月の講演で市場に広がった「テーパリング(量的金融緩和縮小)」への思惑を修正しようとしましたが、為替市場ではユーロが強くなってしまい、ユーロ高が続いています。

この影響から、欧州株はユーロ高を警戒して大きくバランスを崩しています。日本株にとっても、このままユーロのドルに対する強さが維持されるようだと、ドル円相場は円安ドル高方向に戻りが鈍くなってしまい、日本株の上値の重荷となります。

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