風船のような米国株が割れるのはいつなのか 「針のひと刺し」の役割を担うのは何か?

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だが、風船は弾力(全般的な市場外の投資環境の健全さによる、投資家の株式買い入れ意欲)があるため、通常は、そしてすぐには、壊れることは少ない。つまり、即効性のある市場崩壊要因というより、遅行的な懸念材料と言える。したがって、FANG株中心の株価反落が生じても、再度米国株式市況は持ち直すだろう。

ただし、風船の中に水がたまってきたところへ、風船(市場)の外側である、投資環境面から、針がちょっとでも刺さると、あっという間に(即効性をもって)風船は破裂するだろう。

針は米国の政治要因?「即効性」があるのは予算案

その針が何であるか、ということだが、おそらく政治的な要因ではないだろうか。

実際、足元の米国政治情勢については、あいかわらず情けない限りだが、足元でもさらにひどい状況となっている。先週だけをみても、議会上院では「オバマケア」代替法案の成立を断念し、このことが、他の経済政策が遅れるとの懸念をじわりと広げている。人事面のごたごたも相変わらずだが、ショーン・スパイサー報道官が路線対立から辞任することとなり、ジェフ・セッションズ司法長官の更迭説もぶり返している。ドナルド・トランプ大統領はロシアゲート関連捜査に対するいらだちをさらに強め、ロバート・モラー特別検察官の批判も行なう始末だ。

ただ、こうしたトランプ政権の政策遂行能力に対する疑念は、今さら湧き上がったものではない。大統領がいずれ弾劾されるとの見解も力を得ているが、弾劾の最大の理由となりそうな「ロシアゲート」問題については、モラー特別検察官による捜査の結果を待つ必要があり、それは来年になる可能性がある。

したがって、米現政権そのものに対する懸念については、米国株式市場(並びに米ドル相場)に対する、遅行的な悪材料ではあるが、即効性は乏しいと考えている。
    
こうした政策面の疑念を決定的なものとし、即効性を持って米国の株価や米ドル相場の下落を引き起こしかねない、すなわち「針」となりうるものは何だろうか。おそらく夏休み後の米議会が策定・審議する、予算案だ。

経済政策の大きな焦点は、法人・所得減税と、インフラ投資だ。議会共和党は、財政赤字の膨張に極めて否定的なので、減税はかなり規模が縮小されるか、別個の増税との組み合わせとなり、いずれにせよ減税の総額は小さなものとなろう。インフラ投資はほとんど無いようなものとなるリスクが高いと見込んでいる。

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