改革続々、新生「湘南モノレール」の"熱い夏" 新車投入と23年ぶりダイヤ改正で利用者急増

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――利用者から見て、旧車両の新車両への置き換えが次々と進んでいることも大きな変化だと感じる。資本規模を考えれば、思い切った投資に思える。

車両の耐用年数を24~25年と規定し、24年ごとに新車に置き換えるのは、会社設立当初からの流れで、中長期計画に組み込まれている。空中を走行する懸垂式モノレールの特性上、一般の地上を走る鉄道車両に比べ、軽量化の必要から、耐用年数は短くならざるをえない。とはいえ、旧車と比べると、新車である5000系は、アルミボディの剛性をはじめ、電気・安全・通信装置等、すべてが新しい世代のものに置き換わっている。特に、消費電力に関しては、500形と5000系では、20パーセントほど消費電力が削減されている。鉄道事業者の消費電力量は大きいので、この20パーセントという数値は、非常に大きな変化だ。なお、5000系への置き換えは、昨年のピンクラインの投入で、全7編成が完了した。

「江ノ電」人気を借りて知名度向上狙う

――2020年五輪に向けて、行っている対策はあるか。

西鎌倉駅に停車中の湘南モノレール(筆者撮影)

(競技のピーク時になれば)車両の運行本数を増やす等の対策も必要になるかもしれないが、お客様を受け入れるキャパシティを増やす意味で、より重要と考えるのは、駅にお客様が快適にとどまれるスペースを増やすことだと思う。そこで、現在、リニューアル中の湘南江の島駅は、バリアフリー化やフリーWi-Fiの設置、外国語対応等はもちろん、お客様が、より快適に滞留できる広めのスペースを確保する設計になっている。

――最後に、湘南モノレールの今後の展望について、お聞きしたい。

湘南モノレールの観光路線としての全国的な知名度はまだまだで、江ノ電や小田急の人気で湘南エリアに集まる人に、存在を知ってもらっている段階だ。今後は、われわれも、この地域の中で独自の魅力を発信し、早く、観光客の皆様に「モノレールと江ノ電、2つ乗れたらいいよね」と言っていただけるような存在になりたいと思う。

一方で、当社はみちのりHDの一員でもあるが、グループ内では、所属する各社の観光エリアを紹介し合い、つなげるような取り組みをしている。昨年には、東野交通の那須ロープウェイがグループに加わり、那須で湘南モノレールのことを紹介していただいている。このようなグループ内のシナジー効果を、より高めていけるようにしたい。

森川 天喜 旅行・鉄道ジャーナリスト

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もりかわ あき / Aki Morikawa

現在、神奈川県観光協会理事、鎌倉ペンクラブ会員。旅行、鉄道、ホテル、都市開発など幅広いジャンルの取材記事を雑誌、オンライン問わず寄稿。メディア出演、連載多数。近著に『湘南モノレール50年の軌跡』(2023年5月 神奈川新聞社刊)。2023年10月~神奈川新聞ウェブ版にて「かながわ鉄道廃線紀行」連載開始

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