マツダ、最重要の米国で挑む「ブランド改革」 20年ぶりの日本人トップ、販売店評価も一新

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――これまでの値引き頼みの販売から、「商品価値」を訴求する販売について来られない顧客もいるのでは。

かつて販売のメインだった「マツダ3」(日本名:アクセラ)の顧客は、同じセグメントにSUVの「CX-5」が加わったことで乗り換えが増えている。ただ、CX-5はマツダ3よりも高いので、そんなにお金を払えないという声もある。そういう顧客には認定中古車を勧めるなどしているが、残念ながらマツダから離れてしまうケースもある。

「グッド2パーセント」シェアを実現する

われわれは「販売台数を伸ばすために客を選ばず」とは考えない。生涯マツダ車に乗り続けてもらう顧客層を作っていく。マツダの米国でのシェアは約2%だが、ロイヤリティの高い「グッド2パーセント」シェアを実現したい。

――米国の商品ラインナップは必要十分?

米国では「マツダ2(デミオ)」と「マツダ5(プレマシー)」の販売を終了し、「CX-3」を追加した。

CX-5の顧客は2回、場合によっては3回乗り換える。ファミリーで子どもが大きくなると3列シートの「CX-9」への乗り換えもある。こうした状況を考慮すると、あと4年ぐらいは品揃えに問題はない。

昨年から米国で販売されているマツダの旗艦車種「CX-9」。3列シートの7人乗りで価格は3万1520ドルから(写真:マツダ)

ポイントは顧客がエンプティ・ネスター(子どもが独立した熟年核家族)になった場合。3列シートが不要になるとCX-5やCX-3に戻るのか。

またCX-9の最上級グレードは4万5000ドル以上で、年収2000~3000万円の層が買い求めている。中には「ボルボ」「アキュラ」「レクサス」から移ってくる顧客もいる。

マツダはかつて4万5000ドルの車を売った経験がない。こうした富裕層は将来子どもが巣立った時にCX-5を買いに行くのかなと。何かもう一つプレミアム的なモデルがいるのかもしれない。

新商品群で取り込んだ新しい優良顧客の消費行動はこれまでのパターンとは違うはずだ。彼らが次にどんな車を欲しているか、過去の経験にとらわれず、新しい発想で考えていく必要がある。

木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。

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