徹底比較「JR・私鉄の距離別運賃」ランキング 全体に西高東低、意外と安い鉄道会社もある!

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距離が長くなると高くなるという傾向を少しでも改善するために、JRは特定区間について特定運賃を定めている。ほかの鉄道事業者と競合する区間において設定されるケースが目立つ。

関西は大阪―京都間、大阪―神戸間という大動脈がJRと私鉄で競合関係にある。たとえば大阪―京都間。阪急の梅田―河原町間は400円、京阪の淀屋橋―三条間は410円であるのに対し、JRの大阪―京都間は本来の距離で見ると710円とかなり割高なのだが、560円の特定運賃を設定している。

同様に大阪―神戸間は阪急と阪神の梅田―神戸三宮間がどちらも320円だが、JRは本来550円のところ、410円の特定運賃を設定している。

関東でも競合区間はある。たとえばJRと京王が競合する新宿―高尾間。京王は360円。JRは本来なら712円だが、特定区間として550円に設定している。

また、JRと京急が競合する品川―横浜間は京急が298円。JRは本来なら388円だが288円と、京急よりも割安に設定している。実は京急も距離でいえば308円なのだが、10円安い特定運賃を設定。両者が特定運賃で客を奪い合う構図だ。

苦境が続く地方路線の運賃は?

ここまでは大都市圏における運賃の高低を競ってきたが、人口の少ないエリアはどうか。

たとえば、NHKの連続テレビ小説「あまちゃん」で有名な三陸鉄道を例に挙げると、上表のとおりだ。

初乗り運賃は大都市圏と遜色ないが、距離が長くなればなるほど、大都市圏との運賃格差は広がる。ローカル線はこれだけ運賃を高くしても赤字なのだ。

一方、経営が厳しいJR北海道の地方交通線の運賃はどうか。

30~40kmは割高だが、初乗り~10kmの運賃は大都市圏の運賃と大差ないことに驚かされる。乗客が少なければ焼け石に水かもしれないが、運賃引き上げを検討してもいいかもしれない。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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