TV+ネットは最強のメディアになれるのか NHKが次世代サービスで先陣、放送と通信を融合
テレビ、新聞、出版、ラジオ――。長らく続いた伝統的なメディアのすみ分けを、ぶち壊しているインターネット。メディア企業は今、その業態を問わずに「ネットという新しい波をどう乗りこなすか」という難題に、否が応でも向き合わなければならなくなっている。メディアの王様として君臨してきたテレビも、例外ではない。
NHK(日本放送協会)は8月21日、テレビ番組とインターネットからの情報を本格的に連携する次世代サービスを始めると発表した。「NHK Hybridcast(ハイブリッドキャスト)」という名称で、9月2日(月)午前11時から展開する。東芝の一部機種など、ハイブリッドキャストに対応するテレビで利用が可能となる。まずは、NHK総合テレビの番組上で開始する。
第1段階として、テレビ番組上に最新ニュースや気象、スポーツ、為替など、一般的にニーズの高い情報を表示できるようにする。テレビのリモコンでデータ放送を呼び出す「dボタン」に連動しており、表示された情報をリモコンで選択すると、さらに詳しい中身を知ることもできる。
番組連動情報や視聴者参加型サービスにも発展へ
今秋以降は、放送中の番組と連動した関連情報やオンデマンドによる動画、スマホやタブレットなどのモバイル端末と連携するサービスなどの提供にも広げていく。視聴者参加型のサービスや、番組表を使って過去の番組を有料で提供する「NHKオンデマンド」との連動も視野に入れているという。ネット情報を放送と同等の品質で表示でき、多彩な色使いが可能なのも特徴だ。番組と独立したコンテンツづくりにもつながる。
ハイブリッドキャストは、まずNHKが先陣を切る格好だが、21日にNHKが東京・渋谷の本社で開いた会見で、桑原和久編成主幹は「民放にも続いて参入してもらいたい」と強調。その言葉どおり、技術的な枠組み自体はテレビ業界が共通に決めて推進している。テレビ業界にとって、かねての懸案である「放送と通信の融合」を本格的に目指していく取り組みでもある。従来のデータ放送は当面、継続する。