ダイキンがエアコンを「売り逃さない」秘訣 4~6月は2ケタ増、猛暑で上乗せの期待
ダイキンは国内向け家庭用エアコンの大半を滋賀製作所(滋賀県草津市)で生産する。ここでは1978年からトヨタ生産方式を導入し、地道なカイゼン活動を重ねてきた。
早くも1981年には、1つのラインで多種の製品を生産する“1個流し生産”を実現し、柔軟な生産体制を構築した。
ネジを入れたケースの位置を数センチ見直すといった細かな工夫により、コンマ1秒単位で作業時間を削る。サプライチェーン全体の最適化を図るため、海外調達だった部品を国内調達に切り替えたり、部品納入の多頻度化も進めてきた。部品置き場のレイアウト見直しなども常に行っている。
こうした取り組みによって、最量販モデルの生産リードタイム(工場で原材料を投入してから製品が完成するまでの期間)は、2003年度の68時間から2016年度には4時間まで短縮した。その結果、需要変動に合わせて生産量を調整しやすくなった。商戦のまっただ中で追加注文が入っても、量販モデルなら3日、他の製品でも4~5日で出荷できるようになったという。
M&A巧者を支える「マザー工場」
ダイキンにとってもはや国内の比重は高くはない。売上高に占める海外比率は75%に達する。7期連続増益の源泉も海外の成長にある。では、国内の意味がないかというとそんなことはない。
ダイキンはM&A巧者として知られる。1994年以降、実施したM&Aは27件。うち25件が海外だ。その中には2006年のマレーシアのOYLグループ、2012年の米国大手のグッドマンなどの大型案件が含まれる。
東芝やLIXILなど海外M&Aで大やけどをする日本企業が少なくない中で、ダイキンの順調なPMI(買収後の統合作業)を支えるのは、滋賀製作所に代表されるモノ作り力にある。
空調の生産拠点は世界中に80以上あるが、滋賀製作所は家庭用のマザー工場の役割を果たす。その技術を移管して買収先の工場の競争力を引き上げてきた。
今年5月に米国テキサスで本格稼働したグッドマンの新工場は、滋賀製作所で磨き上げた生産技術を標準化し、生産工程ごとに設備をモジュール化した“モジュールライン”を初めて導入した。今後は滋賀製作所にモジュールラインを逆輸入、インド、ベトナムの新工場でも順次展開していく。
猛暑でも売り逃さないモノ作り力。それが同社の巧みな海外展開につながっているのだ。
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