「学力」で勝る日本がフランスの教育に学ぶ事 平均的に優秀な日本人は果たして幸せか?

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国際的な学力試験では、フランスより日本のほうが勝っています。ただ、フランス人にとってそんなことは「エ・アロール(それがどうした?)」です(写真:Syda Productions)
“学問なき経験は、経験なき学問に勝る、と言われる。職人や農夫なんかがモノの道理や真理を知っていることがよくある。真の教養人になるのは、机上の勉強だけではなくて、幅広い経験則がものを言うのさ。アムールと同じで場数だね”
                      ~ジュフロワ氏 リセの哲学教師

 

フランスという国は妙におもしろい。パリのメトロや裏路地で、スカトール入りの濃厚なパルファムの空気を吸う度にそう思うのです。

ご存じのように、スカトールとは複素環式芳香族化合物の一種で、簡単に言えば糞便臭。名だたる香水に含まれる成分です。妙なる香りには必ず毒があるのか、毒があるからこそ芳香を放つのか。

フランスのフシギな面白さ

フランスのおもしろさは多岐にわたります。先進国なのに農業国であること。ヨーロッパではトップクラスの食糧自給率を誇り、農産物及びその加工品による貿易黒字額は輸送機器類に次いで大きいそうです。うらやましいことです。

失業率は高く、それどころか国民は仕事を手かせ足かせと思っているようだし(パリの男女が長期休暇に「何もしない」理由)、教員も医療従事者も、ときに失業者も平気でストするスト大国。街中ゴミだらけになろうと、わがもの顔でデモ行進しています。――ちっともうらやましくありません。経済情勢だって停滞しているのに、人々は脳天気にアムールに浮かれて、見た目は何だか幸せそうなのです。

世界のビッグワンであるアメリカに対しても、日本のようにペコペコすることなく、威張りくさってしゃべって、なんだか田舎者扱いしています。

パリジェンヌもパリジャンもかっこよくてすてきというイメージなのですが、実際パリの街を歩いてみるとすてきな人に遭うことはめったにありません。いったい、かっこいいパリジャンはどこにいるのでしょう?

パリの住人ときたらどうも意地が悪いらしくよそ者から嫌われています。タカビーでツンツンしていて、まったくね。こんな事例は挙げようと思えばまだまだあります。まさにフレンチパラドックス。

教育水準はどうでしょうか。国ごとの学習到達度を測る目安としてOECD(経済協力開発機構)が推奨するPISAというものがあります。PISAはProgramme for International Student Assessmentのことで、義務教育修了段階の15歳を対象に「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」の3分野について、3年ごとの調査を実施しています。

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