ゾゾ前澤社長、123億円でバスキア買った理由 実は世界随一のコレクター
前澤も競売前にプライベートで下見をしている。サザビーズのエイミー・カペラッツォ会長は、「彼(前澤)は非常に本格的なコレクターだ」と言う。「とても強い関心を寄せている」。
前澤は、今回の落札額がこれほど高くなるとは予測していなかったというが、彼のバスキアへの愛情は深い。昨年にもバスキアの作品を5730万ドル(約64億円)で落札している。
「非常に多くの人がこの作品を強く求めていることを知った」と前澤は言い、自分の目は確かだと確信したという。
前澤によると、美術作品の収集を始めたのは10年ほど前。東京にあるマンションは、芸術に対する彼の情熱の証しというべきものだ。階段の吹き抜けにはリチャード・プリンスの「Runaway Nurse」(昨年960万ドルで落札)、ダイニングルームにはロイ・リキテンスタイン、リビングルームにはアレクサンダー・カルダーの2つのモビールとともに、クリストファー・ウールの大作(1390万ドル)が飾られている。
学生時代から音楽活動をしていた前澤は、インディーズのロックバンドでドラムを担当。1988年にスタートトゥデイを起業し、同社が運営するオンラインファッション通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」は日本最大となった。彼は日本の長者番付で14位の資産を持つ。
妹が語る幼き日の天才画家
日本では文化的に自らの富をひけらかさない傾向がある中で、前澤はある意味、異端のようにとらえられている。
前澤はソーシャルメディアでも存在感を見せ、インスタグラムでは購入した芸術作品のほかにも、ボンバルディアのプライベートジェット「グローバル6000」や、パテック・フィリップやリシャールミルといった高級時計のコレクションの写真も投稿している。
前澤はレオナルド・ディカプリオといったセレブとも交流を深め、メトロポリタン美術館のガラパーティには交際中のモデルの紗栄子と共に出席した。
それとは対照に、バスキアの2人の妹は自分たちのプライバシーを守ると言う。彼女たちは2013年に死去した父親から財産管理を引き継いでいる。
「ジェニーンと私は生まれた時からバスキア家の一員だ」と、リセインは言う。しかし、兄を誇りに思っているが、「自分たち自身の人生もある」とリセインは付け加えた。
彼女たちによると、バスキアの「才能」は幼い頃から歴然としていたという。「彼はクリエーティブで、それが彼の糧となった。彼はすべてを吸収した」とジェニーンは言う。「自分はビッグになると彼は思っていた」。
リセインも言う。「彼はいつも手にペンと、絵や文章を書くものを持っていた。彼が没頭すると、それは見ていてすばらしい光景だった」
(Motoko Rich記者、Robin Pogrebin記者、翻訳:中丸碧)
(c) 2017 The New York Times News Services
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