レクサス「LS」の最新進化は一体何がスゴいか 今秋発売控え先行公開された5代目を解剖

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開発コンセプトは「初代LSの衝撃を超えるクルマを」、つまり、「原点」に帰ることだった。チーフエンジニアの旭利夫氏は「歴代LSは静粛性、快適性、滑らかな走り、品質の高さなどは支持された一方、 “五感に訴える”部分は弱いと思っていました。新型はラグジュアリークーペ『LC』に続く新世代レクサスとして、ライバルであるメルセデス・ベンツ「Sクラス」、BMW「7シリーズ」、アウディ「A8」よりも『ちょっといい』ではなく、『すごくいい』でなければダメです。そのためには、すべてを大きく変える必要がありました。開発するうえでのキーワードは『よりエモーショナルに』『よりエキサイティングに』『より先見的に』でした」と語る。

その実現のためには従来の延長線上ではダメで、新規のパワートレイン、プラットフォームを並行して開発が進められたそうだ。そのため4代目は2012年に予定になかった大幅改良という延命措置が行われ、結果的に11年の長寿モデルになった。

独自性を備えたエクステリアデザイン

後部座席(撮影:尾形文繁)

エクステリアデザインは、後席を重視するフォーマルセダンでありながら6ライトキャビンのクーペシルエットを採用。ボディサイズは全長5235×全幅1900×全高1450mm、ホイールベースは3125mm。低重心かつシャープでダイナミックなデザインはライバルとは異なる独自性を備えている。

もちろん好き嫌いが分かれるものの、ジャーマン3(ベンツ、BMW、アウディ)の後追いではない新たなチャレンジに対して高い評価を得ているそうだ。個人的にはやっとレクサスのアイデンティティの1つである「スピンドルグリル」に見合ったプロポーションに仕上がったという感想を抱いた。

デザイン優先のエクステリアのため居住空間は、物足りないのではないか――。そう考えてしまうが、低重心パッケージかつヒップポイントを従来型から25mm下げることで必要十分なヘッドクリアランスを確保。それでも、サンルーフ付きモデルはちょっと頭上空間の余裕が少ないかもしれない。また、新型LSは標準ボディが従来のロングホイールベース仕様相当のため、クラストップのレッグスペースも特徴の1つとなっている。

インパネ回りは「広がり感」や「安心感」を演出している(撮影:尾形文繁)

インパネ回りは上部を水平基調による「広がり感」、下部を厚みのあるコンソールやアームレストによる「安心感」を演出。

木目やアルミなどの高級車の定番マテリアルを極力減らし、上級モデルには日本の伝統美を形にした「匠クラフトマンシップ」が随所に盛り込まれている。

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