今の日本だと「同一労働同一賃金」はスベる 日本人の意識改革が必要だ

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今の日本は『七人の侍』に出てくるこの農村と同じ状況にある。すなわち、こんなジリ貧状態の中で、世界から孤立した状態ではやっていけないのである。こうした中、柏木教授は、「一刻も早く、競争力と安定性の間のよりよいバランスを打ち出す必要がある」と指摘する。

しかし、この「新しいバランス」がいつ打ち出されるかは不透明だ。20年間、国の借金が膨らむ中、日本はデフレで活気のない経済状況をさまよってきた。実は今の日本人が「収入以上の暮らしをしている」という現実に向き合いたい人はいない。

年齢と富によって分断されている

既得権益を持った人たちにとっては、今の日本のほうが過ごしやすいだろう。高齢者は特に今の状態に満足している。彼らが日本の世帯における金融資産の3分の2を保有している一方で、40歳以下の若年層の保有率はわずか2.5%だ。高齢者は有権者の44%を占めている一方、20代の有権者は全体の13%しかいない。

労働人口が払っている年金を高齢者があきらめることはないだろうし、既得権益を持つ正規雇用労働者が、喜んでその権利を手放すこともないだろう。こうした「不平等」を見直す日が来るまでは、交渉力を持たない若年層は不利益を被りながらも、静かに苦しむことになる。年齢と富によって分断されたこの国で。

全国民の圧倒的な支持がなければ、政府が改革案を先延ばしし続ける可能性は高い。少なくともアベノミクスの状況下では考えがたい。が、抜本的解決に至らない切れ切れの妥協まみれの改革は状況の改善にはつながらないうえ、タイミング的にも遅きに失する可能性がある。そうであれば、「同一労働同一賃金」の取り組みも、良かれと思って導入されたのに失敗に終わる改革案の1つになるのではないだろうか。

リチャード・ソロモン 経済ライター、Beacon Reports発行人

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Richard Solomon

英ロンドン・ビジネス・スクール卒。欧州のICT業界向けメディア、ESNメディアグループの発行を手掛けた後、来日。日本社会が抱える問題や日本のリーダーなどに関するメディアBeacon Reportsを発行。The Nikkei Asian ReviewやThe Japan Timesなどにも寄稿している。

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