「女王陛下の新路線」用新車は何が新しいのか 吊り革は一部だけ、座席の座り心地は?

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車体は1両につき片側に3つのドアが付いている。他のナショナルレールの車両は、片側2ドアが標準となっているが、いずれは都心部を通過し、多くの乗客をさばく必要があることから、地下鉄と同様にドア数を多くしたことが見て取れる。

外開き式を採用した乗客用ドア。混雑する路線では不向きといわれているが、都心部を横断するエリザベス線ではどうか(筆者撮影)

ドアは、日本で一般的な戸袋式(開く際、車体内側に収納される)ではなく、観光バスに見られるような外側へ開くスライド式ドアとなっている。スライド式は、見た目は格好よく、窓の面積を大きくできるなどの利点がある一方、日本のように混雑する地域には不向きとされている。

英国でも、最近は戸袋式を採用する鉄道会社が増えてきたが、都心部を通過するエリザベス線では問題なく使用できるのか、気になるところだ。

座席は日本よりも硬め?

内装はシンプルで非常にすっきりしており、色使いも派手ではない。

先頭車は通常のロングシート。座り心地は硬く、長時間の乗車では少々お尻が痛くなる印象を受けた(筆者撮影)
中間車に設けられたボックスシート。都心部を走る路線であると同時に、郊外へ足を延ばす近郊用車両としての顔もある(筆者撮影)

座席は紫の迷彩柄で、両側の先頭車両がロングシート、中間車両はドア間に2つずつ、合計4カ所の4人掛けボックスシートを設置している。都心を通過する通勤路線であるとともに郊外へもかなりの距離を走るため、ボックスシートはありがたい。地下鉄と同様、各座席にはひじ掛けが設置されており、きちんと決まった人数が着席できるように配慮されている。

ただ、座ってみるとこれが結構硬めの座り心地だ。同じく最近導入された「テムズリンク」の新型車両も30分座るとお尻が痛くなってくるのだが、最近の英国の近郊用鉄道車両は総じて座席が硬い印象だ。日本の通勤電車の座席も一時期は非常に硬かったが、最近はかなり改善されていることから、むしろ日本の車両より硬いのではないかという印象だ。

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