新宿-多摩、小田急と京王のどっちが便利か 長年優位の京王を小田急が追い上げ

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一方、朝ラッシュ時は少し様相が異なる。平日朝の本数は、6時台が京王9本・小田急10本、7時台が京王12本・小田急11本、8時台が京王10本・小田急9本とほぼ同じ。6~8時台の新宿までの平均所要時間も京王が約47分、小田急が約48分とほぼ互角だが、ピーク時の所要時間は小田急のほうが短い。

たとえば朝8時半までに新宿に到着することを考えた場合、京王の場合は7時33分発の区間急行本八幡行きが最速で、新宿(新線新宿駅)には8時28分に着く。これに対し、小田急は7時42分発の急行我孫子行きを利用し、代々木上原で新宿行きに乗り換えて新宿着は8時27分。昼とは逆に小田急のほうが10分も速い。

7時台の多摩センター―新宿間の平均所要時間を比較すると、小田急は約51分なのに対して京王は約54分。小田急利用のメリットとしては千代田線への乗り入れにより、霞ヶ関や大手町などの都心部に直通可能という点が挙げられるが、対新宿でもピーク時に関しては複々線化が進んだ小田急が優位といえる。

一方、帰宅時は京王のほうが利便性が高そうだ。新宿発22時台まで特急・急行がほぼ10分おきに走り、その後も区間急行がある京王に対し、小田急の多摩急行は1時間あたり2本で、そのほかは新百合ヶ丘駅での乗り換えとなる。新宿からの終電も、京王は0時24分発なのに対し小田急は0時05分発で、20分ほど早い。

来春からはどうなる?

だが、小田急は来年春に大きな変化を迎える。複々線化の完成に伴うダイヤ改正の実施だ。同社によると、多摩センター―新宿間の所要時間は現在より5分ほど短い約40分になるという。ピーク時の列車本数も、現行の1時間あたり27本から36本(世田谷代田―下北沢間の本数)に増える予定で、朝ラッシュ時の利便性が増すのはほぼ確実だ。改正後のダイヤについては現時点では未定だが、小田急へのシフトが起こる可能性は十分考えられる。

一方、京王は2018年春から夕〜夜間に有料座席指定列車の運行を開始する。小田急は2016年のダイヤ改正で多摩線直通の特急ロマンスカーがなくなっており、「座れる電車」のニーズを取り込めそうだ。また、笹塚―仙川間では連続立体交差事業が進行しており、途中の明大前駅と千歳烏山駅は列車の追い抜きができる2面4線の構造とする計画。将来は、現在ネックとなっている「朝の遅さ」が多少なりとも解消される可能性がある。

長い間圧倒的だった京王相模原線に対し、じわじわと実力をつけてきた小田急多摩線。来春は、両線の本格的な競争時代の幕開けとなるかもしれない。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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