──スポンサーは?
シンクタンクは非営利団体だから財団などの支援に依存している。保守系の場合はこれまた極めて保守的な指導者の率いる財団が存在する。サラ・スケイフ財団、ジョン・オーリン財団、リンド&ハリー・ブラッドレー財団をはじめとする、いわゆる保守系財団だ。
──コーク兄弟も。
保守系の有力資金源の1つだ。リバタリアンで1970年代にできたケイトー研究所の設立にかかわり、集中的に支援していることで知られている。ティーパーティ運動を裏から支援しているのではないかと近年がぜん注目が集まった。
これらの中核的な資金源があって、長期にわたって「ひもなし」、つまり、事細かに条件をつけない援助をしている。その支援の方法について戦略的フィランソロピーという呼び方がある。
1990年代にリベラル系が覚醒したときに、この保守系の資金源に注目した。資金源を確保する必要があるとの声が高まって、ジョージ・ソロス氏が名乗りを上げた。リベラル派の大富豪も戦略的フィランソロピーにのっとるようになり、リベラル系のシンクタンクは短期間で成長できた。
米国政治の病理現象を助長している
──シンクタンクの隆盛はいい面ばかりではない?
他方で、今の米国政治の病理現象を助長している側面もある。イデオロギー的なシンクタンクが出てきたことを大きな要因として、イデオロギー的な分化現象が深まっている。分化の産物である一方で、分化を加速させている存在でもある。たとえば保守系であれば保守主義原則で、ひたすらそのアイデアを唱える。逆のリベラル系の考え方は受け入れない。そのための人材ばかりを育成し抱え込む。
──トランプ政権になって聞こえてくるのは「オバマ全否定」……。
振り返れば2013年秋に予算協議がまとまらず、16日間連邦政府機関がシャットダウンされた。その際、オバマケアを廃止すべきだと唱えていたのがヘリテージ財団だった。こうした例が噴出し始めている。
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