王者カルビーが崩せないカラムーチョの牙城 ピザポテトを再開し、カラビーをやめたワケ

✎ 1〜 ✎ 52 ✎ 53 ✎ 54 ✎ 最新
拡大
縮小

ピザポテトに話を戻そう。スーパーマーケットにおけるピザポテトの全国における100万人当たり売上金額は、休売直後の2017年5月を除いた直近1年が1カ月当たり16万~27万円台。平均すると約21.6万円だ。その前の1年を同じように見ると1カ月当たりは14万~22万円台。平均すると約18.5万円となった。2017年4月には販売休止を前にした特需があったことを考慮しても、カラムーチョと同等以上の売れ行きを示していたといえる。

カルビーはスナック菓子メーカーのトップ企業として君臨しているが、局地戦として辛口スナック菓子では湖池屋に敗北を喫していたのだ。かつてカルビーは2010年末から「うま辛ポテト ヒ~ハー!!」という同ジャンルのポテチを投入していたことがある。お笑い人気コンビのブラックマヨネーズをイメージキャラクターに使用していたので記憶にある人も少なくないだろう。これもいつの間にか店頭から見られなくなっていた。

カラムーチョはカルビーに崩せない牙城だ

カルビーにとってカラムーチョは何度も挑みながら崩せない牙城だということが、カラビーの撤退で実は示されたのである。長年培われたブランド、信頼、「定番商品を買う」という消費者の習慣を正面から切り崩すのはなかなか難しい。

こうやって見ていくと、カルビーが休売対象の中からピザポテトの復活を急いだ理由がわかる。むしろやや幅を広げて、ポテチの濃い味カテゴリーとして、カラムーチョに対抗できるカルビーの商品がピザポテトといえる。

しかしこう考えると、ジャガイモ不足に端を発したポテトチップス問題だが、結局は売れる商品を「休売」とし、そのドサクサにまぎれて売れていなかった商品を「終売」(販売終了商品)として発表したのではないかとも考えられる。それにしても、「カラビー」は売れていなかったんだな、と私は驚いた。意外に、ビールのつまみとしてはおいしかったのに。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
パチンコ業界で「キャッシュレス」進まぬ複雑背景
パチンコ業界で「キャッシュレス」進まぬ複雑背景
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
半導体需給に変調の兆し、歴史的な逼迫は終焉?
半導体需給に変調の兆し、歴史的な逼迫は終焉?
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT