200万人都市「札幌圏」JR電車通勤の実態とは 赤字体質のJR北海道で、唯一の稼ぎ頭

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9時、「カムイ7号」が8番線から出てゆくと、その直後、先刻963Mで降り立った7番線に、再び201系気動車が姿を現した。函館本線非電化区間から直通する2本目の列車、蘭越発の3925D快速「ニセコライナー」である。こちらは単独の3両編成だった。札幌着のあと、各編成は苗穂の基地や次なる始発駅に回送され、日中は区間快速や普通で函館線内を往復する。そして夕方、201系同士の6両編成で小樽へ向かい、編成を分割、2本の列車で非電化区間に乗り入れて翌朝に備える。

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列車が到着するたび、あふれるような通勤客がエスカレータや階段を下りてゆく光景を繰り返し見て、札幌都市圏輸送の迫力に浸る。札幌駅の1日平均乗車人員約9万5000人は、2位、3位の手稲、新千歳空港約1万5000人の6倍を記録する。ただ、10位まですべて札幌圏電車区間の駅が占め、函館・釧路・北見をまとめても10位の数字には届かないという面を見ると、北海道における札幌一極集中を如実に物語っている。さらに、札幌-小樽間33.8キロメートルは東京-保土ヶ谷間より少し長く、大阪-神戸間と同程度に過ぎない。小樽以遠は非電化で閑散路線の扱いになってしまう。これは札幌市の人口195万は全国5位の地位にあるものの、札幌都市圏人口231万と大差がないというデータを見ても、裾野への広がりに欠けることがうかがえてしまう。

こうした状況の中で、約10年前(2006年)の道および札幌市による調査によると、札幌都市圏の人々の移動回数全体のうち、JRのシェアは3.5%。自動車(路線バスを除く)が55%以上と圧倒的比率を占める中では微々たる割合であり、地下鉄(10.2%)の3分の1となる。しかしこれは、面で広がる都市圏のごく一部を線で結び、郊外へ延びているのがJRであり、同じ鉄軌道でも地下鉄は札幌市内のみに多方面の路線を持っているのだから、仕方がない面がある。

鉄軌道沿線のマンションへ住み替える動きも

一方、伸び率ではJRは注目されている。30年前の1987年調査に対して2.3倍を記録する。軒並みできた新駅が当時の急成長を物語り、その後も着実に成長を続けてきた。札幌市による別の調査では、札幌市域はまだ人口増加が続く中、その伸びはJRや地下鉄沿線で高い。さらに近年の高齢化の中で、自らの手で広く除雪しなければならない周辺部の戸建てから鉄軌道沿線のマンションに住み替える動きも目立っている。

近年の冬においてはゲリラ降雪が大きく影響しているが、道路は積雪で狭くなってしまうと渋滞で移動速度が著しく低下するのに対し、鉄道は開通すればすぐに通常の速度での運行に戻せる。しかるに、JRや地下鉄沿線は高いアドバンテージを持つ。

これらが、現在のJR北海道札幌都市圏輸送を取り巻く環境や状況らしい。だが、先の調査では、これまで成長してきたJRや地下鉄も、人口の頭打ちとともに今後は利用が減少傾向に転じると予測されている。

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