アマゾン、ホールフーズを137億ドルで買収へ ホールフーズ株は2年ぶりの高値を更新

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 6月16日、米アマゾンがホールフーズを137億ドルで買収すると発表した。写真はニューヨークのホールフーズ店。同日撮影(2017年 ロイター/Carlo Allegri)

[16日 ロイター] - オンライン小売の米アマゾン・ドットコム<AMZN.O>は、自然・有機食品小売り大手の米ホールフーズ・マーケット<WFM.O>を債務を含め137億ドルで買収すると発表した。アマゾンは買収により、富裕層やミレニアル世代の顧客に向けて、生鮮食品などを販売する実店舗網を強化できる。

アマゾンによる企業買収としては過去最大。実店舗小売事業への進出に向けた取り組みとしても最大となる。ホールフーズにとっては、商品を低価格で販売するというアマゾンの強みを活用できることになり、競争力の強化につながる。ホールフーズは既存店売上高が7四半期連続で減少するなど、業績が低迷していた。

買収額は1株当たり42ドルと、ホールフーズ株価の前日引け値に27%上乗せした水準。

アマゾンによる買収のニュースを受け、食品販売関連株を中心に、市場では衝撃が走った。スーパー大手クローガー<KR.N>は11%急落、ウォルマート・ストアーズ<WMT.N>も5%下落した。アマゾンが低価格競争を仕掛けるとともに、ホールフーズの商品展開を拡充し、より幅広い小売り業態を目指すとの懸念が浮上している。

ホールフーズ株は2年ぶりの高値を更新。買収提示額をやや上回る水準で推移しており、規制当局により買収を阻止されるリスクは小さいと投資家が予想していることを示唆した。

アマゾン株は3%上昇の993.40ドルと、時価総額は140億ドル以上膨らんだ。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスのバイスプレジデント兼シニアクレジットオフィサーのミッキー・チャダ氏は「スーパーマーケットは、同業はもちろん、ウォルマート・ストアーズ、ターゲット<TGT.N>など、従来とは異なる生鮮販売業者に加え、積極的な価格競争を行う体力のあるアマゾンのような小売業者とも戦う必要が出てきた」と話す。同氏はスーパーマーケット業界で再編が一段と加速すると予想する。

グローバルデータ・リテールのマネジング・ディレクター、ニール・ソンダース氏は「ホールフーズがさらされていた圧力は解消され、事業再活性化に向けた好機を得ることになる」と語った。

ホールフーズを巡っては、アクティビスト(物言う投資家)のヘッジファンド、ジャナ・パートナーズから経営陣刷新などを求める圧力が強まっていた。

関係筋は、アマゾンがオンラインと実店舗での販売融合を目指していると述べる。実店舗での販売に加え、オンライン注文品の実店舗での受け取り、宅配など、店舗倉庫を物流拠点にこうしたサービスを複合的に展開していく青写真を描いているという。

だが、オンライン注文品の実店舗での受け取りではウォルマートが先行しており、生鮮販売ではまだまだ水をあけられている。

また食品市場におけるアマゾンの影響力はなお小さく、有機食品への旺盛な需要を踏まえると、農家は価格交渉で強い力を持つとの指摘も上がる。

4月9日時点の発行済の希薄株式総数に基づくと、債務を除く買収額は133億9000万ドル。買収は今年下期に完了の見通し。

ホールフーズは今後も「ホールフーズ・マーケット」ブランドととして事業を継続する。ジョン・マッケイ最高経営責任者(CEO)は同ポストにとどまり、テキサス州オースティンにある本社の移転もないという。

今回の買収では、ゴールドマン・サックス<GS.N>、バンク・オブ・アメリカ<BAC.N>がアマゾン側、エバコア・パートナーズ<EVR.N>がホールフーズ側のアドバイザーをそれぞれ務めた。

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