仲人をしていて感じるのは、年を重ねるほどに、婚活市場における自分の立ち位置が見えなくなっている人が多いということだ。「選ぼう」としている相手からは選ばれず、「対象外」と思っている人からは、強力プッシュをされる。相手の選択を間違えていることに気づいていない。
46歳の良雄(仮名)もその1人だ。良雄は、身長175センチメートルのすらっとした体型で、大手企業に勤めているという。年収は780万円とよいし、目鼻立ちの整ったハンサムだ。ただ、前髪がはげて後退し、後頭部も薄くなりかけている。髪の毛に年齢が出ていた。
良雄は、落ち着いた口調で言った。「子どもの頃は、大人になったら結婚して家庭を築くものだと漠然と考えていました。この年まで自分がひとりでいるとは思わなかった」。
自分のことを、「どちらかといえば草食系だ」と分析しながらも、大学時代には同級生の彼女もいたし、社会に出てからは2年間付き合った彼女がいたという。
「大学の時の彼女とは就職してからも付き合っていたんですが、都内の本社から愛知の支社に転勤になって、遠距離恋愛が続かず別れてしまいました。愛知に転勤になったのは25の時なんですが、しばらくして取引先の3つ下の女性と付き合うようになりました。2年付き合ったけれど彼女が会社を辞めてアメリカに語学留学をすることになり、別れてしまいました」
良雄の場合も、20代はいわゆる生活圏内で出会う女性たちと付き合ってきたのだが、それが結婚にはつながらなかった。
「遠距離になると、2人の関係を続けるのにエネルギーを使いますよね。その時の自分は、恋愛がそれほど重要事項ではなかった。それに結婚ってひとりとしかできない。そう考えると、20代でつきあった2人は、『この人と一生を共にしたい』とは思えなかった」
20代の頃は普通に生活していれば、自然な流れの中で付き合う彼女ができていた良雄。ただ、30を越えて再び本社に戻り、仕事が忙しかったせいもあるのだが、35までの間は女性とデートすることもなく時間が過ぎていったという。
「もともと出会いを求めて行動するタイプではなかったし、仕事が忙しいとそれで日々をやり過ごしてしまう。35を過ぎたあたりから、“自分で行動を起こさないと結婚できないかもしれない”と思うようになって、誘われればバーベキューや合コンにもなるべく参加するようにしたんです。でも、そこで連絡先を交換しても1、2度会うと連絡を取らなくなるか、付き合っても2、3カ月で関係が終わってしまうことが続きました」
40代に突入し、合コンの誘いもなくなった
そうこうしているうちに40を過ぎてしまった。40代になると、バーベキューや合コンの誘いもなくなった。そうした会を積極的に主催していた男友だちは、すでに結婚。独身で残っている友達には、出会いの場をセッティングするタイプの者がいなかった。
“このままでは出会いもなく結婚もできないだろう”と、良雄は“お見合い”して、結婚相手を見つけようと、私を訪ねてきた。
良雄が“できるだけ早く結婚したい”と思ったのには、もうひとつのきっかけがあった。
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