東京の「1日乗車券」、なぜこんなに不便なのか 種類豊富だが「都区内全線」乗れる切符はない

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筆者が利用した外国の都市の公共交通で、乗り換えに際して別の乗車券を買う必要があったのはバンコクのBTSとMRT(地下鉄)ぐらいだ。それ以外は1枚の乗車券でほとんどの公共交通に乗ることができた。

東京の鉄道は時間に正確で案内も丁寧だ。その点では世界のトップレベルに位置していると筆者も思う。しかし多くの事業者によって運行されていることが、わかりにくさにつながっていることは認識すべきだろう。

海外の大都市では同じ都市内の鉄道は同一事業者で運行されるのが一般的であり、そうでなくても運賃は統一ルールが導入されることが多い。パリはパリ交通公団RATPとフランス国鉄SNCF、シンガポールはSBSトランジットとSMRTトレインズという複数の事業者が運行しているが、運賃体系は一律であり、乗り換えのたびにゼロから計算し直すことはない。乗車券も共通だ。

五輪までにわかりやすいシステムを

さらに欧州の多くの都市ではゾーン制が導入されている。公共交通の走行環境を時間や距離を考慮したいくつかの範囲(ゾーン)に分け、それを基に運賃を定めるものだ。東京でいえば山手線内をゾーン1、23区内をゾーン2と分けるような内容である。

その土地に住む者にとっては、実際の移動距離と一致しない運賃体系に不満が残るかもしれないが、東京の地理を知らない観光客にとってはゾーン制のほうが理解しやすいはずである。

空港の入国審査で外国人のことをAlienと表記したり、国会前交差点がKokkaiと書かれていたり(いずれも現在は変更されている)、日本のモビリティシーンは外国人への配慮が足りない面が多かった。それは表記に限った話ではないと認識している。2020年東京五輪・パラリンピック開催までに、グローバル基準で理解しやすい環境整備が望まれる。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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