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「過食と残業」やめられない人の意外な共通点 「やめたいのにやめられない」への対処法

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  • 松村 真宏 大阪大学大学院経済学研究科教授
  • 國田 圭作 博報堂行動デザイン研究所所長
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松村:多くの習慣行動はほぼ無意識なので、そのことに気付かせるのはけっこう難しいかもしれません。

内心では「これはよくないかも」と気付いていても、その行動に快感があると自分を正当化する方向に向かいます。なので「別の選択肢」を用意して、自分で選べるようにしてあげるのがいいんですね。

國田:「行動デザイン」でも“レーンチェンジ”といって、「似ている、別の行動に乗り換えさせる」手法があります。類似した行動だと乗り換える抵抗が少ないんですよね。

松村:たとえば、たばこをどうしてもやめたかったら「たばこの空き箱に、ガムやタブレットキャンディを入れて持ち歩く」ようにしてみる、というのも「仕掛け」のひとつかもしれません。

國田:間食、過食はどうでしょう。行動デザイン的にいえば、お菓子の代わりに炭酸水を飲むといった代替行動、つまり別の選択肢を手近に用意してあげられるといいと思うのですが。

松村:ただ、そういう「やめられない習慣」って本当にやめなくてはいけないのでしょうか。

本当に「やめるべきこと」はなにか

なぜその行動をやめる必要があるのか、本当にやめたいと思っているのか、という「そもそも」の部分を問い直していかないと、手法論だけでは解決できないと思うのです。喫煙や過食を無駄と考える人もいるでしょうが、それって実は贅沢なんじゃないでしょうか?

國田:本音ではその無駄を楽しみたがっていると。

それを表向きは「止めたいもの」にリストアップせざるをえないところに実は深い社会の病巣がある。アリとキリギリスの寓話がありますが、あれもお互いの行為を「無駄」と見なし、それを楽しむことを認め合わない「対立構造」が、実は問題の本質ですよね。

松村:アリはキリギリスから見ると過剰に働きすぎですが、本人たちはそれが普通で、なんの苦痛も感じていない。キリギリスも、別に怠けているつもりはなくて楽器を弾いたりしながら人生を満喫しているだけ。それをなぜ他者から攻撃されなくてはならないのか。

國田:それって効率至上主義から来ていますよね。生産性が絶対善で、無駄が悪だって。

「日本は先進国で最も生産性が低い」という批判もあるようですが、「俺たちって、ほんと生産性低いよな~」と自虐的に言っているだけで、本気で改善はしていない。残業が多いとこぼしながら、働き方を変えられないでいる人と、過食などの習慣をやめられないと言っている人には、共通点がありそうですね。

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【表向きは認めちゃったほうが楽】

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